ホテル「甑島館」運営会社を提訴へ 薩摩川内市「補助1億円使途不明」 [鹿児島県]

 鹿児島県薩摩川内市が、上甑島(かみこしきしま)のホテル「甑島館」の改修に支出した補助金1億円の使途が不明として、ホテル運営会社のアイ・ビー・キャピタル(福岡市)に返還を求める訴えを、鹿児島地裁川内支部に近く起こすことが分かった。同社から改修実施を示す実績報告書が未提出だという。ホテルは改修後とされる昨年春にリニューアルオープンしたが、半年もたたない同10月から休館。今年1月末で閉館する。市民から市の責任を問う声も出ている。

 ホテルは1996年に旧里村が建設した天然温泉を利用した施設で、地上7階、地下1階建て。甑島列島で唯一、団体客が宿泊できる。2004年の市町村合併で薩摩川内市が引き継ぎ、指定管理者制度で運営したが、赤字経営となり15年にアイ・ビー・キャピタルに無償で譲渡された。

 施設は老朽化が進み、雨漏りや配管の漏水などが深刻化。同社は市に支援を要請した上で、17年9月に休館。市は「甑島観光の核施設」として、甑島の宿泊施設に限定した補助金交付要綱を新設して18年1月に前払いで1億円を交付した。

 市によると、同社は工期末の18年3月末、改修工事費明細書を提出。これは市所定の様式に沿った正式な実績報告書でなく、「補助金が適正に改修に使われたか確認できない」として再三報告書を求めた。しかし、提出されなかったため市は補助金交付を取り消し、補助金の返還を求めたが応じなかったという。

 市は「市民の税金なので適正に対応した」としている。同社は「無償譲渡の際、水漏れは市が修繕する約束だった。1億円は補助金ではない」と市側に主張しているという。

 同社には無償譲渡した15年度にも市が約8千万円の補助金を支出。閉館で、甑島観光への影響も懸念され「多額の補助金が生かされなかった」と市民は指摘している。同社は西日本新聞の取材に対し「甑島館のホームページに発表している以上に答えられない」としている。

=2019/01/24付 西日本新聞朝刊=

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