地熱発電頓挫、補助金不採択 百条委設置議案を否決 指宿市議会 [鹿児島県]

 九州有数の温泉地、鹿児島県指宿市が計画する地熱発電事業を巡り、市議会に25日、調査権限の強い、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委)を設置する議案が提出されたが、賛成少数で否決された。2015年度から進む同事業については、16年にも百条委設置に向けた動きがあり、今回で2回目。賛否が割れる同事業の混迷ぶりが浮き彫りとなった。

 事業は、市と九州電力、地元企業の3者が共同で計画した。市所有地の温泉施設「山川ヘルシーランド」で蒸気を取り出す井戸を整備。蒸気を2社が建設する発電施設に売却し、余った熱水を農業や観光に活用するというもの。

 16年度に調査井戸を掘る計画だったが、地元の温泉旅館業者らが「掘削で温泉が枯渇するリスクがある」として白紙撤回を求めた。市議会でも温泉掘削の申請手続きに疑義があるなどとして百条委設置の動きが起こり、豊留悦男市長は16年10月に凍結を表明した。

 ところが、18年2月の市長選で再選した豊留市長は直後に事業再開を表明。同年9月に環境省の温泉掘削許可を得て、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)に掘削工事の助成金を申請した。しかし、JOGMECは「地域との共生が図られていない」などとして不採択とした。

 この日の市議会では、百条委設置の提案議員が、数千万円もかけた事業が不採択となったのは失政だなどと提案理由を説明した。討論で賛成議員は「方向性を決めるためにも問題点を洗い出す必要がある」「前回、百条委を設置しなかったことが今につながった」と主張。反対議員は「百条委を設置するほどの疑惑はない」「設置で指宿市のイメージ低下につながる」と反論した。採決の結果、賛成8、反対10で否決された。

 豊留市長は今後も事業を進める方針で、西日本新聞の取材に対し「市民の意見を集約して決まった計画だと、あらためて認識する必要がある」と語った。

=2019/03/25 西日本新聞=

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