「高森田楽」学生が普及へ 復興支援、熊本学園大生が起業 具材通販、料理店と連携 [熊本県]

高森田楽の消費拡大を目指して会社を設立した熊本学園大の沼亨晴さん(左)と浅野世樹さん
高森田楽の消費拡大を目指して会社を設立した熊本学園大の沼亨晴さん(左)と浅野世樹さん
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絵本「でんが君たんじょう」を園児たちに披露する学生=高森町
絵本「でんが君たんじょう」を園児たちに披露する学生=高森町
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いろりを囲んで楽しむ高森田楽。特産の「つるのこいも」やヤマメ、こんにゃくが代表的な具材
いろりを囲んで楽しむ高森田楽。特産の「つるのこいも」やヤマメ、こんにゃくが代表的な具材
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 串刺しの食材に特製みそを付け、いろりの炭火で焼く高森町の郷土料理「高森田楽」を売り込もうと、熊本学園大(熊本市)の学生たちが株式会社「NUMA(ヌーマ)」=沼亨晴(こうせい)社長=を設立した。地元の老舗料理店と連携し、具材の詰め合わせなどを商品化するほか、オリジナル絵本を使い伝統の食文化を分かりやすく伝える活動にも取り組む。熊本地震の影響で、町の観光客数は依然落ち込む。「復興の手助けになれば」。学生の意欲に、地元の期待も膨らむ。

 2月下旬、高森幼稚園。園児約70人を前に、学生たちが完成したばかりの絵本を読み上げた。題名は「でんが君たんじょう」。高森田楽の具材となる野菜のキャラクター同士の友情を通して郷土料理の素晴らしさを紹介する物語。沼さんが「帰ったら家族に『田楽食べたい』って言ってね」と呼び掛けると、園児たちから「はーい」と元気な声が返ってきた。

 活動に携わるのは商学部4年の3人。所属するゼミは、公会計の研究を通して2015年から町と交流してきた。熊本地震で町内は大きな被害を免れたものの、阿蘇大橋や南阿蘇鉄道など近隣の主要交通網が断たれ、一時は観光客が8割も減った。

 「町を支援できないか」。昨年夏、町内で合宿した学生たちが着目したのが高森田楽だった。かつては家庭料理だったが、家からいろりが消えてからは、観光客向けに数店が伝統を受け継いでいる。

 合宿で初めて味わった浅野世樹(としき)さん(21)は「ヘルシーでおいしく、具材のバリエーションも増やせそう」と一目ぼれ。住民や飲食店主に聞き取りをし、田楽の代表的な具材「つるのこいも」に目を付けた。火山灰の土壌で栽培するサトイモで、観光客の減少に伴って需要が落ち込み、生産者が苦境に立たされていると聞き「販路を町外に拡大しよう」と思い立った。

 会社は3月に設立。社名は、もう1人のメンバー松本崚汰さん(21)を合わせ、3人のイニシャルから取った。ヤマメやこんにゃくなど具材の詰め合わせや、カセットこんろで楽しめる「いろりキット」などを通信販売で取り扱う予定。相談に乗ってきた地元の老舗料理店「高森田楽保存会」の本田研一社長は「田楽文化に関心を持ってもらうのはありがたい」と期待を寄せる。

 今後は県外で絵本の朗読会も予定している。熊本市の自宅と高森町を行き来する学生社長の沼さんは「町外に田楽を広めて、本場で味わいたいと思う人を呼び込みたい」と話している。

=2017/04/20付 西日本新聞朝刊=

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