「仲町の茶わん鉢」、三角西港で公演 宇城の住民、守り継ぐ [熊本県]

黒子に操られ、ユーモラスな動きで皿を回す男の子の人形
黒子に操られ、ユーモラスな動きで皿を回す男の子の人形
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人形の皿回しや太鼓などの演奏を練習する保存会の人たち
人形の皿回しや太鼓などの演奏を練習する保存会の人たち
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 黒子に操られた男の子の人形が皿を回す宇城市松橋町仲町地区発祥のユニークな伝統芸能「仲町の茶わん鉢」が21日、同市三角町の三角西港で披露される。明治時代から、戦争や担い手の高齢化などで何度か活動中止に追い込まれたが、2015年に保存会によって復活。ところが翌16年4月の熊本地震でメンバーの多くが被災し、再び中止になった。復興への願いを込め、新たな出発が幕を開ける。

 「仲町の茶わん鉢の始まり始まり。さあ、見てハイヨー」-。16日夜、松橋公民館に高らかな声が響き渡り、本番前の最後の練習が始まった。三味線、太鼓、チャルメラ、鉦(かね)が囃子(はやし)歌とともににぎやかに演奏される中、黒子2人が操る人形は左手に持つ細い棒の上に皿を載せ、右手で勢いを付けて回転させる。人形は右に左に体を動かしながら皿回しを続け、最後に灯籠に早変わりし、約6分間の舞台が終了する。

 保存会会長で仲町で洋服店を営む中山明倫さん(77)によると、住民が余興で披露し合っていたものが、明治時代初期、地元の松橋神社に奉納されるようになったという。第2次大戦中に中断したが、終戦後の1948年、仲町の米穀店の蔵から人形と明治の年号が入った皿が見つかり、住民が保存会をつくって活動を再開。各地の行事に呼ばれる人気だったが、会員の高齢化で93年に活動は再び中断。その後、松橋高のクラブ活動で行われた時期を経て、仲町がある商店街の店主や元店主らが他地区にも呼び掛け22人の保存会を再結成。2015年に再び松橋神社に奉納した。

 翌16年、世界文化遺産の三角西港で初公演し、後継者育成につなげようと計画したが、会員約3分の2の自宅や店が地震で被害に遭い、中止になった。

 中山さんは「私たちが小さな町の珍しい芸能を披露することが、被災した他の人たちの励ましになり、若い人の関心も引けたらうれしい」と意気込む。

 公演は午前11時と午後2時の2回、三角西港の浦島屋前で。無料。雨天時は28日に延期。

=2017/05/18付 西日本新聞朝刊=

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