キリシタン資料購入へ 世界遺産登録へ散逸防ぐ 上天草市 [熊本県]

白磁製のマリア観音像
白磁製のマリア観音像
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聖母子のテンペラ画が描かれたバイブルケース
聖母子のテンペラ画が描かれたバイブルケース
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 熊本地震の影響などで集客が落ち込み、閉館を検討しているキリシタンゆかりの遺物が並ぶ天草市有明町の民間資料館「サンタマリア館」の所蔵品について、上天草市が購入を検討していることが分かった。同市は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録を目指す動きを踏まえ、同市大矢野町の「天草四郎メモリアルホール」の改装を予定。資料購入のための評価委員会を設置し、その関連費用を盛り込んだ補正予算案を6月議会に提案する。

 サンタマリア館は1987年に開館。展示資料は、旧信者宅で見つかった祈りの儀式などに用いるロザリオや、聖母子の姿が描かれたバイブルケース、貝に十字架を書いた聖杯など約300点に上る。

 浜崎献作館長によると、資料の多くは2010年に亡くなった父の故栄三さんが40年ほど前から潜伏キリシタンが多かった天草市河浦町崎津や同市天草町大江を訪ね、所有者から譲り受けて収集したという。白磁製の観音像を聖母マリアに見立てて信仰の対象としたとされるマリア観音像は、東京国立博物館の所蔵品と時代や製法が同じものとみられるという。

 同館は熊本地震前、年間約1万5千人が入館していたが、地震後はほぼ半減。施設を運営する後継者がいないこともあり浜崎館長は閉館を検討。関係者から貴重な資料の散逸を懸念する声が上がっていた。

 市は7月にも、専門家などによる評価委員会を設置し、資料の価値を算定。9月議会に購入費を盛り込んだ予算案を提案する考え。

 熊本大大学院の安高啓明准教授(日本近世史)は「浜崎氏親子が集めたコレクションは今では収集不可能なものばかりで、大変貴重だ。世界遺産に絡んだ潜伏キリシタンの信仰の道具など、島外に出すべきではない」と話す。

=2017/05/19付 西日本新聞朝刊=

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