西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

火山活発化で水銀噴出増 県内の研究班が阿蘇で関連解明 水蒸気爆発時に灰から高濃度 [熊本県]

噴煙を上げる阿蘇中岳の活動=2014年11月26日
噴煙を上げる阿蘇中岳の活動=2014年11月26日
写真を見る
須藤靖明さん
須藤靖明さん
写真を見る
丸本幸治さん
丸本幸治さん
写真を見る
永松允積さん
永松允積さん
写真を見る
地震計が捉えた中岳活動期の微動の波形(紫色)と、採取した火山灰の水銀値の折れ線グラフ(2014年11月~15年5月)。二つの変動が一致している
地震計が捉えた中岳活動期の微動の波形(紫色)と、採取した火山灰の水銀値の折れ線グラフ(2014年11月~15年5月)。二つの変動が一致している
写真を見る

 阿蘇山の噴火と環境問題を調べている研究班が、火山活動が活発化するほど火口から噴出する水銀量が増える相関関係を突き止め、オランダで発行している国際学術論文誌に発表した。火山がもたらす自然界の水銀汚染の実態解明につながる内容。阿蘇山の噴火メカニズムと、水銀汚染が原因となった水俣病の健康被害の長い研究の蓄積が結実した格好だ。

 研究班は阿蘇火山博物館の須藤靖明学術顧問(73)、国立水俣病総合研究センター環境化学研究室の丸本幸治室長(44)、熊本市の地質愛好家永松允積(よしずみ)さん(70)。自然界に存在する微量の水銀の多くは火山活動に由来するとされており、阿蘇中岳の火山灰を手掛かりに水銀放出の実際を探った。

 調べたのは、火山灰を大量に噴出した2014年11月~16年5月の活動。火口から約4キロの地点で定期的に採取した火山灰の水銀値を測り、地震計がマグマの動きなどを捉えた微動との関連を調べた。その結果、活動が活発化すると水銀量が増え、沈静化すると減少する傾向を示した。

 研究班によると、堆積した火山灰層の水銀から過去の活動を解明する研究は、イタリアのエトナ火山などで行われている。今回の研究は堆積層でなく、火山活動と同時進行で火山灰中の水銀量を分析したことに意義があるという。

 今回の研究で、水蒸気爆発による火山灰から特に高濃度の水銀放出量を検出することも判明。マグマからの水銀と合わせ、火口底の堆積物に蓄積した水銀が飛散したと考えられ、須藤顧問は「古い火山灰層でも測定可能な水銀が残っていれば、当時の活動が推定できるかもしれない」とみる。

 丸本室長は「今回の結果が阿蘇山だけのことか、他の火山にも当てはまるかは不明。火山ガス中の水銀濃度なども調べ、火山体内の現象の全体をつかみたい」と話す。水俣市の国際水銀ラボの赤木洋勝所長は「火山噴火で水銀が地表に落ちることが分かり、火山活動の形態と水銀放出の量的関連も判明した。水銀の自然汚染を知る上で興味深い」と指摘した。

=2017/10/05付 西日本新聞朝刊=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]