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営業38年「永龍」廃業へ 益城町、常連と別れ惜しみ「最後まで精一杯料理を」 [熊本県]

スープ作りに励む本田さん
スープ作りに励む本田さん
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 益城町惣領のスーパー駐車場に、熊本地震で被災した商店の仮設店が並ぶ「益城復興市場・屋台村」が10月末で閉鎖する。中華料理店「永龍」の店主本田達永さん(67)は、飲食店の排水施設が使えなくなる9日、38年続けた店を閉める。「満足感ともどかしさ、半々だね」。後ろ髪を引かれる思いで常連との別れを惜しんでいる。

 高森町出身の本田さんは中学を卒業後、左官の仕事を経て、熊本市の中華料理店「宝来」で修業。30歳で益城町に店を構えた。永龍の店名は「何事にも永久に上に昇るように」との思いを込めた。タイピーエンや酢豚などが人気となり繁盛した。

 昨年4月14日と同16日、最大震度7の激震に見舞われ、店を失った。近くの自宅も全壊した。廃業も頭をよぎったが、屋台村ができるとの話を聞き「仕事ができる、お客さんが来てくれる」という喜びをもう一度味わいたいと思った。

 仮設店舗の調理場は、広さが以前の店の4分の1。30種類あったメニューを5種類に絞って再開した。「おいしかった」「温かいものが食べられてよかった」。住民や全国各地から訪れたボランティアからの言葉に元気をもらった。「ここにおる間は頑張ろう」。そう思えた。

 ただ、とうに還暦を過ぎて体力は落ちた。8月、妻と話し合い廃業を決めた。店をたたむことを知った常連客が懐かしさから通ってくる。修業時代の店の常連も来る。「辞めんでくれと言われて、うれしいけどさみしいね。屋台村のおかげで、同じ境遇の仲間との絆も深まった。最後まで来てくれるお客さんに精いっぱい、料理を提供したい」

=2017/10/06付 西日本新聞朝刊=

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