設置条例案「平和」文言なし 錦町の海軍航空基地資料館 市民団体が見直し要望「戦争誤って伝わる」 [熊本県]

人吉海軍航空基地跡に残る複数のトンネルでつながった地下施設
人吉海軍航空基地跡に残る複数のトンネルでつながった地下施設
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錦町の担当者に条例案見直しの要望書について説明する人吉球磨の戦争遺跡を伝えるネットワークのメンバー
錦町の担当者に条例案見直しの要望書について説明する人吉球磨の戦争遺跡を伝えるネットワークのメンバー
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 錦町が整備を進める人吉海軍航空基地資料館を巡り、開会中の6月町議会に町が提案した設置条例案の条文に「平和」の文言がないなどとして、市民団体「人吉球磨の戦争遺跡を伝えるネットワーク」(山下完二代表)が12日、条文見直しを求める要望書を森本完一町長宛てに提出した。同会は「平和の観点が抜け落ちたら、戦争は勇ましくかっこいいものとして後世に誤って伝わる」と懸念する。

 人吉海軍航空基地は、同町と相良村にまたがる約2万6千平方メートルの敷地にあった。1943年11月に建設が始まり、旧海軍の搭乗員や整備兵の養成のほか、特攻の中継基地などとして使用された。近年の調査で弾薬倉庫や兵舎に利用された大規模な地下遺構が確認され、町は同町木上西に資料館を建設中。8月1日のオープンを予定している。

 提案中の条例案では、設置目的を「基地に関する資料などを保存紹介することにより歴史への理解を深め、学びの場、住民交流の場とする」としており、平和には直接言及していない。

 資料館の愛称を「山の中の海軍の町 にしき ひみつ基地ミュージアム」としている点についても、同会は「子どもの遊ぶ場所のイメージで、観光中心と取られかねず、ふさわしくない」と再考を求めた。

 同会によると、知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)や大刀洗平和記念館(福岡県筑前町)など、他の多くの戦争資料館は設置目的に「平和」を盛り込み、平和祈念の理念を強調しているという。

 対応した町企画観光課の深水英雄課長は「町長は以前から平和目的の施設と発言しており、その軸はずれていない」とした上で「要望は町長に伝える」と答えた。条例案は、18日の議会最終日に採決される。

=2018/06/13付 西日本新聞朝刊=

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