育児で避難所控え4割超 熊本市の「はあもにい」調査 「人前で授乳ストレス」「夜泣き、周囲に気兼ね」 [熊本県]

被災した育児中の女性へのアンケート結果をまとめた報告書
被災した育児中の女性へのアンケート結果をまとめた報告書
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本震直後の熊本市中央区本山町の江南中体育館。仕切りもなく、多くの人々が一緒に生活していた=2016年4月18日
本震直後の熊本市中央区本山町の江南中体育館。仕切りもなく、多くの人々が一緒に生活していた=2016年4月18日
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 熊本地震後に自宅にとどまった育児中の女性のうち、「子どもが小さく周囲に迷惑を掛ける」ことを理由に避難所を選ばなかった「避難控え」が4割以上いることが、熊本市男女共同参画センター「はあもにい」の調査で分かった。避難所に身を寄せた人でも人前での授乳にストレスを感じるなどの訴えがあり、被災した母親たちが直面したさまざまな課題が明らかになった。

 調査は2016年4月の熊本地震を経験し、熊本市内で未就学児を育てる女性を対象に昨年7~8月に実施。回答者1211人のうち、38・6%の468人が、車中泊などを含む避難所生活を経験。一方、自宅にとどまった人は553人で、子育て中を理由にした避難控えは252人だった。

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 避難所での生活で「不便・不安に感じたこと」(複数回答可)を尋ねると、「集団生活によるストレス」(174人)が最も多く、次いで「衛生環境が良くない」(164人)、「子どもが夜泣きなどで迷惑を掛けることへの心配」(146人)が挙がった。他人の前での授乳にストレスを感じるという声もあり、「乳児や障害児がいる世帯同士が(他の人たちとは離れ)同じ空間にいられるようにしてほしい」といった意見が目立った。「子どもが遊んだり勉強したりする場所がない」(136人)として、スペースの確保を望む声も多かった。

 「避難所で改善した方が良い」点の自由回答では、「離乳食がない」「子どもから離れられず物資の支給に並べない」といった困り事が相次いだ。避難所生活をした4人に1人が「希望する支援物資が手に入らなかった」と答えた。

 避難所生活以外では、震災後に保育園の休園が相次いだことも問題に。「託児所がないと片付けもできない」「災害時も出勤しなければならないが、子どもを置いて仕事に行けない」。仕事と子育ての両立に悩んだ体験も寄せられ、一時預かり所開設の要望が多かった。

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 内閣府は東日本大震災の教訓から、男女共同参画の視点を踏まえた防災・復興の取り組み指針を2013年に作成。各自治体でも避難所運営マニュアルに女性や子どもに配慮した内容を盛り込む動きが進んでいる。

 一方、被災地では避難所によって取り組みに差があるのが実情。神戸大地域連携推進室の山地久美子学術研究員(災害社会学)は「平時から自主防災組織に女性が参加し、災害時にも運営側に入り関わっていくことが大切だ」と強調する。

 「熊本地震を経験した『育児中の女性』へのアンケート報告書」は、はあもにいのホームページからダウンロードできる。同センターは、調査結果を踏まえたハンドブックを本年度中に作成するという。

=2018/08/09付 西日本新聞朝刊=

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