阿蘇ジオパーク再認定調査 景観と災害の記憶継承を [熊本県]

阿蘇大橋の崩落現場で認定ガイドの広瀬顕美さんから説明を受ける専門家たち=8日午後
阿蘇大橋の崩落現場で認定ガイドの広瀬顕美さんから説明を受ける専門家たち=8日午後
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 阿蘇ジオパーク再認定の可否を決める専門家の現地調査が4日間の日程を終えた。最終日の9日、講評の中で専門家たちは、2年前にあった熊本地震の経験や痕跡を含め、大地の歩みを語り継ぐ地域の姿勢を評価。東京五輪がある2020年には、多くの海外観光客の目が阿蘇に注がれるとし、「景観保全」の視点ばかりではなく、地域の人々の営みや自然との共生ぶりを「魅力」として捉え、活動の拡充を求めた。

 一行は8日、阿蘇大橋が崩落した立野峡谷を訪れた。高さ700メートル、幅200メートルにわたり地震でえぐり取られた山肌には、阿蘇の火山活動が活発化した50万年前、カルデラ湖だった数万年前、そして2年前の地震の現実が刻まれている。

 「ここで生きるということ、自然と生きるということは、どういうことか伝えていきたい」

 認定ガイドの広瀬顕美(あきみ)さん(69)が、手書きの絵や資料をめくりながら語りかけると、専門家は言葉を失い、うなずいた。

 その直前に視察したのは近くの久木野層(南阿蘇村)。一見何の変哲もない地層のようだが、火山灰層の下に、川や湖の水流を物語る横線地層が厚く重なり、かつて一帯がカルデラ湖であったことを示す。

 「縄文時代の人たちは、カルデラ湖の誕生や消失を見ていたかもしれませんね」「そうなんですよ」

 人々はあの時代から自然や災害と向き合っていた。各地で案内役を務めた認定ガイドの語り口もそれぞれに味があり、人そのものがジオサイト(構成資産)になっていた。

 4日間の調査中、各地を巡った専門家たちは(1)ジオサイトの価値に気づいて保全に取り組んでいるか(2)活動に若者や子どもたちを巻き込み教育に生かしているか(3)単なる環境保全ではなく観光収入増につなげ循環型の保全活動になっているか-といった視点で視察し、質問を重ねていた。

 地震からの復興の中で、ジオパーク観光(ツーリズム)も新たな地平を切り開こうとしている。

=2018/08/11付 西日本新聞朝刊=

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