内密出産制度 ドイツに学ぶ 熊大でシンポ 政府職員ら現状と課題語る [熊本県]

ユーリア・クリーガーさん
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ハイケ・ピンネさん
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 望まない妊娠をした女性が匿名で出産し、子が出自を知る権利を得られる「内密出産」に関する国際シンポジウムが22、23日、熊本大(熊本市中央区)であった。2014年に内密出産制度を導入したドイツの担当者や現場の相談員が現状と課題を語った。

 制度では、性暴力や経済的事情などで妊娠を周囲に知られたくない女性が相談機関に実名を明かした上で、医療機関では匿名で出産する。子は16歳になると出自を知る権利を得る。

 ドイツでは、妊娠相談所や病院、家庭裁判所など関係機関が密接に連携し、内密出産を希望する女性を支える。費用は国が負担する。妊婦が相談するホットラインも24時間年中無休で、妊婦は匿名、無料で話せる。家族省のユーリア・クリーガー課長は「相談窓口は敷居を低くしなければならない」と話す。

 ドイツでは14年5月~18年7月で467件の内密出産があり、「困難な状況の妊婦に支援は届いている」と強調。ただ、成長した子どもが出自証明書の閲覧を求めたり、生みの親を探したりする場合の対応など「今後も考えていかなければ」と話した。

 内密出産の導入を検討する慈恵病院(同市西区)の蓮田健副院長も登壇。「ドイツのように法律と行政の支援に基づいた制度の実現が理想。ただ、日本では10年、20年たっても実現せず、現行法の範囲内で実現したい」と語った。

 このほか、匿名で子どもを預けることや内密出産の法的課題について専門家が話した。

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「高い知識、専門性必要」 民間妊娠相談員ハイケ・ピンネさん

 妊婦との相談で最も重要なのは、最初の面談です。相談所に来てもらい、どんな問題で悩んでいるかを十分語ってもらうことで、肩の荷を少しでも軽くさせ、一緒に解決策を考えていきます。

 女性が内密出産の道を選んでから、第2段階が始まります。心も体も非常事態にいる妊婦たちは、それぞれ異なる事情を抱えており、事前に備えることは困難です。特に内密出産は極めてまれ。一度も経験しない相談員もいるでしょう。他の相談分野とは異なり、繰り返して経験を積むことができません。

 私がいる相談所では、通常2人体制で対応します。1人が女性とやりとりし、もう1人がバックアップ役です。情報を共有し、関係機関と連携して臨みます。

 現場では、子どもの出自を知る権利と、女性の匿名性を守ることが、内密出産にとって重要なことだと認識しています。だからこそ、ミスは許されません。難しい判断を迫られるため、高いレベルの知識、専門性が必要です。 (談)

=2018/08/25付 西日本新聞朝刊=

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