故石牟礼さん原作の能を初上演 熊本で「沖宮」 [熊本県]

幻想的な舞台で観客を魅了した新作能「沖宮」=6日午後8時50分ごろ、熊本市中央区
幻想的な舞台で観客を魅了した新作能「沖宮」=6日午後8時50分ごろ、熊本市中央区
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 水俣病を伝えた「苦海浄土(くがいじょうど)」などの著作で知られ、2月に90歳で亡くなった作家石牟礼道子さん原作の新作能「沖宮(おきのみや)」が6日夜、熊本市中央区の水前寺成趣園能楽殿で初上演された。石牟礼さんが紬(つむぎ)織の人間国宝、志村ふくみさん(94)の協力を得て構想を温めていた作品。逝去から8カ月近くを経て命が吹き込まれ、約400人が酔いしれた。

 東日本大震災後、石牟礼さんが草木染の名手である志村さんに衣装制作を依頼して始まった企画。石牟礼さんの古里・天草を舞台に、島原の乱で命を落とした天草四郎の霊と、生き残った少女あやが相まみえる。

 この日は、台風の影響で時折小雨がぱらつく中での上演となった。かがり火に照らされた幻想的な雰囲気の中で舞台は始まり、水縹(みはなだ)色(水色)の装束の四郎が登場。干ばつに苦しむ村のいけにえとして差し出されたあやに緋(ひ)色の衣装を手渡した。

 最後は、四郎に導かれあやは沖宮へ向かう。死を描きながら自然へ返る再生のメッセージを体現し、厳粛に幕を閉じた。

=2018/10/07付 西日本新聞朝刊=

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