熊本市動植物園が全面再開 震災以来2年8カ月ぶり 獣医師・井手さん「長かった」 [熊本県]

熊本市動植物園の全面開園を控え、アフリカンサファリから譲り受けたライオンの雌クリアを見つめる井手真司さん
熊本市動植物園の全面開園を控え、アフリカンサファリから譲り受けたライオンの雌クリアを見つめる井手真司さん
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 熊本地震で被災し、部分的な開園を続けていた熊本市動植物園(同市東区)が22日、2年8カ月ぶりに全面的に再開する。大分や福岡の動物園に預けられていた猛獣たちも戻り、担当獣医師の井手真司さん(55)は「待ちに待った日。ここまでとても長かった」と感慨深げに話した。

 2016年4月の地震では、園内の至る所で地割れや陥没が起き、給水管が破裂した。猛獣舎のおりは傾いて隙間ができた。猛獣や鳥などを担当する「飼育展示第一班」をまとめる井手さんは当時、「逃げ出した動物はいないか」など職員に声を掛けながら、施設を点検して回った。

 大きな余震が続き、おびえる動物たち。チンパンジーはおりから手を離さず、ゾウは下痢が止まらなかった。担当する猛獣舎には、ライオンやアムールトラ、ユキヒョウなど5頭がおり、落ち着かない様子だったという。

 ツイッターでは「ライオンが逃げ出した」とデマを流され「こんな時に…」とあきれた。ただ、強い余震でおりが壊れれば、逃げ出す恐れもあった。「環境が変わると動物のストレスになるが、やむを得なかった」。5頭を福岡、大分両県の動物園4カ所に受け入れてもらった。

 世話してきた猛獣たちと離れ離れの日々。17年2月下旬、安全を確認できたエリアに入場を絞り、土日祝日だけの部分開園が始まったが、「どこか気持ちが乗らなかった」。給水管工事の業者が決まらず、今年春とされていた全面開園は延期に。そんな中、支えになったのは、部分開園でも来園してくれた子どもたちの笑顔だった。

 10月に猛獣舎の修復が終わり、5頭は戻ってきた。ライオンの雄サンは、九州自然動物公園アフリカンサファリ(大分県宇佐市)から、パートナーの雌クリアを連れてきた。5頭は帰還直後こそ小食だったが、10日ほどで食欲を取り戻した。

 動物たちの元気な姿と、きれいになった園内を見てほしい。井手さんは「お客さんに楽しんでもらえれば、それが一番」と笑った。

=2018/12/22付 西日本新聞朝刊=

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