阿蘇市議選、苦悩の無投票 低い報酬に世代交代進まず 「民意の審判なく重みない」 定数見直し求める声 [熊本県]

山間部にある波野地区の選挙掲示板では、昼すぎになっても候補者全員のポスターが張られていなかった。「いつもなら全員そろっているが」と住民
山間部にある波野地区の選挙掲示板では、昼すぎになっても候補者全員のポスターが張られていなかった。「いつもなら全員そろっているが」と住民
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 阿蘇市議選(定数20)が20日告示され、現職16人と新人4人以外に立候補の届け出はなく、20人の無投票当選が決まった。旧3町村が合併して市となった2005年以降、4度目の市議選で無投票は初めて。県内では11年4月の合志市議選以来8年ぶりとなる。新議員の党派別の内訳は、無所属18、公明1、共産1。

 無投票当選が決まった阿蘇市議選は、地方議会の多くが抱える悩みを浮き彫りにする形となり、有権者からは困惑の声も聞かれた。

 大分県境と接する波野地区から立候補し当選を決めた新人は、午前11時半から自宅前で出陣式。支援者ら200人を前に「心をつなぎ、市民の声を市政に反映させたい」と訴え。地元を中心に選挙カーを走らせたが、選挙掲示板には候補者全員のポスターがまだ張られておらず、住民からは「いつもの選挙風景とは違う」との声も漏れた。

 背景の一つに挙げられるのが定数。同市議会では人口減などに対応し、2007年は26だった定数を、11年に22、15年に20と徐々に削減。ただ、直近2回の選挙では立候補者数が定数を1人上回り、かろうじて無投票が回避されてきた。

 昨年6月議会の全員協議会でも、議員からさらなる定数削減を求める提案があった。しかし「地域面積が広く、市民の声を反映させるには現行定数が妥当」という意見が多く、定数20が維持された経緯がある。

 議員報酬の低さの影響を指摘する関係者もいる。阿蘇市議会は月額24万8500円。九州市議会事務局の昨年8月調査によると、九州・沖縄の119市議会で最も低く、政務活動費の支給などもない。

 「家業があれば別だが、議員活動だけで生活していくのは厳しい」と、今期限りで引退した議員。今回の立候補者に30、40代はおらず、世代交代が進まない要因にもなっているという。

 同市の人口は現在、約2万7千人だが、45年には1万8千人に減少するとの推計もある。ある有権者(64)は「民意の審判を受けない議員には重みがない」とばっさり。「かつてない人口減少の波が押し寄せようとしており、議員の在り方を含め、まずは定数見直しに努めてもらいたい」と語った。

=2019/01/21付 西日本新聞朝刊=

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