視覚障害者に寄り添い35年 「朗読サークルあらお」大臣表彰 広報誌や新聞、CDに録音 [熊本県]

伝達式で表彰状を受け取った(左から)安田さん、本村さん、瀬戸さん
伝達式で表彰状を受け取った(左から)安田さん、本村さん、瀬戸さん
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 今年設立35年を迎える荒尾市の「朗読サークルあらお」(本村郁子代表、会員15人)が本年度の厚生労働大臣ボランティア功労団体表彰を受けた。県内でも古参の朗読ボランティア団体で、視覚障害者のために市の広報誌や新聞記事を声で吹き替えている。メンバーの高齢化と減少に悩んでいるが「これからも目の不自由な人たちに寄り添っていきたい」と意気盛んだ。

 1984年3月に有志約20人で発足。当時、糖尿病など疾患で失明して点字を読めない人が増えていた。先行する福岡県大牟田市の活動を参考に「広報あらお」の記事を読み上げ、カセットテープにダビングした。設立時から残る唯一の会員、安田数栄さん(88)は「朗読も素人だったので徹夜することもあった。ダビングは機器を持っていた市役所におじゃまし、通路で作業をした」と懐かしむ。

 現在は会員15人が当番制で「広報あらお」「あらお社協だより」、新聞の社説やコラムを朗読し、録音したCDを市内の13人に届けている。聞き取りやすいように修正や編集を重ねるため、毎回4時間程度にまとめる「広報あらお」の作業は十数時間に上る。市の予算特集は数字やグラフが並ぶため、どう説明するか頭を悩ませるという。

 ラジカセを使った作業から、高齢者には不慣れなパソコン作業に代わったことで2000年代に45人いた会員は徐々に減少。現在は80~60代のベテランが活動を支える。一方の利用者もピーク時の30人余から減っているが、今でも「広報誌をCDで聞き、相談窓口を知った」と市役所を訪れる利用者がいる。代表の本村さん(78)は「私たちの活動を求めている人はもっと多いはず」とニーズの掘り起こしを課題に上げる。

 10日には浅田敏彦市長から表彰状を受け取る伝達式が市役所であった。本村さん、安田さんとともに臨んだ瀬戸菊子さん(73)は「『広報あらお』のCDが紙の広報誌よりも早く届くとうれしい、と言ってくれる利用者がいる。CDの発送が遅れたことはこれまで一度もない。まだまだ頑張ります」とたくましく語った。

=2019/01/22付 西日本新聞朝刊=

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