「死にたい」否定しないで 熊本市で「若者の自殺予防シンポ」 フリーライターの渋井さん講演 [熊本県]

自殺願望のある若者と座間事件の被告がSNS上で行ったやり取りを説明する渋井哲也さん
自殺願望のある若者と座間事件の被告がSNS上で行ったやり取りを説明する渋井哲也さん
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 いじめやネット犯罪、自傷行為といった若者が抱える問題をテーマに取材しているフリーライターの渋井哲也さん(49)=東京都=が3日、熊本市で講演し、神奈川県座間市で自殺願望のある若者ら9人が殺害された「座間事件」を取り上げ「支援者は『死にたい』という感情を否定せず、相手の立場を想像し感情を包み込む『共感共苦』の意識を持ってほしい」と呼び掛けた。

 子どもや若者の自殺防止を考えるシンポジウムの一環で、電話で悩み相談を受ける社会福祉法人「熊本いのちの電話」が主催した。

 座間事件の犠牲者は当時15~26歳の男女で、会員制交流サイト(SNS)のツイッターなどに自殺願望を書き込んだことがきっかけで被告の男と接触し、事件に巻き込まれた。渋井さんは被告とインターネット上でつながった女性たちに取材。被告がうその年齢を伝えるなどしていたやりとりに触れ、「相手に共感を抱かせるやり方だ」と分析した。

 渋井さんはツイッターやネットの掲示板で行ったアンケートの結果も報告。若者がSNSで「死にたい、消えたい」とつぶやく理由として、「瞬間的だった」「心の整理をしたい」「話を聞いてほしい」といった回答が目立ったという。一方で「暇つぶし」との理由はほとんどなかったとして、自殺をほのめかす書き込みの背景にある若者の苦しみの深刻さを強調した。

 シンポの後半では、電話相談員や精神科医が若年層の自殺問題を議論した。「北海道いのちの電話」の松本明事務局長は「いのちの電話の知名度がとても低くなり、特に子どもたちからの電話が少ない」と指摘。国立病院機構熊本医療センターの橋本聡・精神科医長は「子どものコミュニケーション手段が昔と全く異なっている。子どもたちのツールに合わせて、大人の側が下りていく取り組みが必要だ」と提言した。

=2019/02/05付 西日本新聞朝刊=

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