千巌山頂上はげ山に 上天草の国立公園 車道整備で絶滅危惧種など伐採 [熊本県]

千巌山頂上の展望台までの道路整備に伴い伐採された樹木
千巌山頂上の展望台までの道路整備に伴い伐採された樹木
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山頂への道路を整備する前は、樹木に覆われていた
山頂への道路を整備する前は、樹木に覆われていた
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 雲仙天草国立公園にある上天草市松島町の千巌山(せんがんざん)(標高162メートル)で、市の道路工事に伴って環境省指定の絶滅危惧種であるアマクサミツバツツジが伐採され、市民から「貴重な樹木が切り倒された上、はげ山になって景観が悪化した」と批判が出ている。13日の市議会一般質問でも取り上げられ、市側は「道路のコンクリート塀に違和感があるとの意見もあり、ツタ類を植えるなど周辺との調和を考えるべきだった」と釈明する一方、工事自体は適切に行われたと強調した。

 千巌山は「国立公園の生みの親」といわれる造園学者田村剛が1933年、調査のため登頂した際、岩肌の自然美を賞賛して命名した。山頂からは島原半島や天草下島、八代海などを一望できる。島々が点々と浮かぶ様子は「日本三大松島」の一つとしてたたえられ、56年に雲仙天草国立公園に追加指定された。

 今回問題になった工事は、市が2014年から進めてきた「千巌山前島地区総合開発事業」の一環。総工費約1億7千万円で、頂上北側の新しい展望台に自動車で行けるように、既設の駐車場と頂上を結ぶ歩道をつぶし、車道を整備した。

 市によると、車道整備に伴い、見晴らしを良くするために17年末から山頂付近の樹木などを広さ2・48ヘクタールにわたり伐採したという。この場所は国立公園の第2種特別地域に指定されており、樹木などの伐採は原則2ヘクタール以内に限られているが、「環境省天草自然保護官事務所と協議した上で伐採しており、問題ない」(市都市整備課)とする。

 一方、市の観光ガイドを長年務めた永野隆一さん(81)によると、道路周辺にはアマクサミツバツツジのほか、岩の間からアカマツやネズミサシなどの貴重な樹木が自生していたという。

 13日の市議会で和田好正総務企画部長は「マツは13%、ツツジは7%、サクラは24%程度、眺望を確保するため必要な部分を伐採した」と答弁。「配慮しなければならないところもあったが、以前より利用しやすくなったとの話もあり、結果的に良かったと思う」と強調した。

 これに対して、永野さんは「道路計画について、地元住民には何の説明もなく、完成した姿を見て非常にがっかりした」と指摘。「貴重な自然を大切にして、地元の声を生かしながら工事を進めてほしかった」と話している。

=2019/03/14付 西日本新聞朝刊=

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