寺社の復旧進まず 補助に政教分離の壁も 熊本地震1年

専寿寺ではプレハブの仮本堂で営みを続けている=3月
専寿寺ではプレハブの仮本堂で営みを続けている=3月
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熊本地震で本堂などが全壊した専寿寺=昨年4月
熊本地震で本堂などが全壊した専寿寺=昨年4月
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 熊本地震で被災した県内の寺社で復旧が進んでいない。倒壊した楼門が国の重要文化財に指定されている阿蘇神社(阿蘇市)などを除き、檀家(だんか)や氏子も被災して寄付集めもままならない上、政教分離の原則で公的支援を受けられないためだ。地震から1年を経てもなお、対応の難しさが課題となっている。

 「プレハブは手狭で読経も響かない。一刻も早くお堂を再建したいが…」。益城町にある専寿寺の高千穂義静(ぎじょう)住職(72)はため息をつく。本震で築130年の本堂と庫裏、納骨堂が全壊。昨年12月にプレハブの仮本堂を建てた。

 再建の見込み額は約1億5千万円。地震保険や宗派の融資、自己資金を加えても大半は寄付に頼らざるを得ない。ただ、門徒約700軒の多くも被災し、仮設住宅や親類宅に身を寄せる。高千穂住職は「どこにいるか分からず、話し合いもできない状況」と戸惑う。

 専寿寺が属する浄土真宗本願寺派だけでも467寺のうち240カ所が被災。本堂全壊は21、大規模半壊は24。全国の宗派の寺を通じて集めた見舞金が200万~560万円ずつ分配されたが、再建が見通せない寺は少なくない。

 神社も深刻だ。県神社庁によると、県内1360法人のうち約880法人が被災した。全壊34、半壊31。全国の神社から届いた義援金が100万~300万円ずつ分配されたものの、中規模の神社で再建に3千万円以上かかるという。

 こうした状況に県は、国の補助対象外の復旧を援助する復興基金に「地域コミュニティ施設復旧等再建支援」を追加。祭りなど地域共同体の維持活動に活用され、自治会などが主体の場合、神社の復旧に上限1千万円の補助を認めている。ただ、3月からの受け付けに対して申請は今のところ4件にとどまる。

 昨年12月には宗教法人の施設復旧に寄付する場合、所得税や法人税の減免が受けられる指定寄付制度も適用対象としたが、申請は5件のみだ。県神社庁の赤星出事務局長(57)は「氏子の生活再建が先。神社の再建は10年単位で考えなければ」と複雑な胸の内を明かす。

=2017/04/25付 西日本新聞朝刊=

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