2008年7月 4日

<4>ベジブロス 栄養満点 野菜スープ

写真
野菜の皮や生長点を煮出してつくる究極の野菜スープ「ベジブロス」=撮影・野口修二
 先週の問題は、「皮や芯をまるごと使った料理の見た目の悪さをカバーするにはどうするか」でした。

 定番は、ニンジンやダイコンの皮や芯のきんぴら。もともと黒い料理だから、きれいに見えます。みじん切りにして、チャーハンやギョーザの具にするのもいいですね。

 お薦めは皮や芯、ヘタなど、野菜の調理くずを冷蔵庫に数日分集めておき、まとめて煮る方法。ファイトケミカルやミネラルが溶け出したこの煮汁(ベジブロス)を保存して、その都度みそ汁やスープなどに使うと一味おいしくなります。

 崇城大学薬学部の前田浩教授の著書「活性酸素と野菜の力」によると、植物の持つさまざまな栄養成分は細胞の中にありますが、その小さな細胞の1つ1つは、細胞壁というセルロースの壁で囲まれています。でも、人間はセルロースを消化する酵素を持っていません。だから、生の野菜をそのまま食べても、その野菜のもつ栄養成分の十分の1から100分の1しか吸収できていないそうです。

 そういえば、緑色野菜を水の中でつぶしても、なかなか色が出ないのに、数分煮ると煮汁はすぐに緑色になります。加熱によって何億もの小さな細胞1つ1つの壁が破れ、中の葉緑素が煮汁に溶け出すからです。

 つまり生野菜は相当かまないと、そう簡単に細胞中の栄養成分は吸収できない。牛を見てください。ただの草だけで、どうしてあんなに大きな体になるのか。それは臼状の歯で草をすりつぶし、胃の中でセルロース分解菌に細胞壁分解を手伝ってもらい、それをもう一度口に戻してムシャムシャとかみ続けた上で、再び胃に戻して消化しているから。4つの胃を持つ牛だからできることで、人間にはそんな芸当はできません。

 以前、野菜スープがブームになりましたね。なぜ野菜スープにしたら顕著な効果が上がるのか。それは野菜の煮汁をいただくことで、生で食べるよりも50倍近くの栄養をもらえるというわけだったのです。
 さらに煮ることでかさが減り、生の約10倍の量が食べられますから、煮物野菜を汁ごといただけば、計算上の栄養はなんと500倍! 元気になり過ぎて困るかも。

 植物だけが持つ、私たちの老化や病気を防ぐファイトケミカルは煮ても炒(いた)めてもほとんど変化しない。ですから、ベジブロスは凝縮した生命力が溶け出した究極の野菜スープなのです。

 ただ、火を通すことで壊れる成分も少しはあるし、生で食べることも大切でしょう。でも生野菜のサラダでは量が食べられません。野菜を生でたっぷり食べるにはどうすればいいでしょうか? 答えは次回。
(大地といのちの会代表)

<続く>

=2008/07/04付 西日本新聞朝刊=

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