2010年5月10日

【元気野菜de元気人間(吉田俊道)】<11>耕作放棄地

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(上)人の背丈ほどのカヤと小木が生い茂る耕作放棄地(下)耕作放棄地を復元させた畑でとれた立派な野菜=長崎県佐世保市潜木町

生命循環最高の畑に

 生ごみリサイクルで育てた元気野菜には、驚くような抗酸化力があります。でも、“業”として元気野菜を生産するには、生ごみは不向きです。なぜなら広い畑に生ごみを入れることは、水分管理の難しさ、鳥獣害対策など弊害が多いのです。

 ではどうやってミネラル、微生物いっぱいの大地にするか。実は何もしなくても、自然が用意してくれてました。それは耕作放棄地。近年、あまりにも増えすぎて社会問題化していますが、こと土の状態だけをみれば、人の手が入らず、勝手に生えた植物が競争や共生を繰り返す生命の循環のなかで、微生物やミネラルが自然に整っている土地なのです。

 農地に戻すには、刈払いした後、草を外に持ち出さずに月3回程度耕運するのがコツです。これを約3―6カ月続ければ、荒れ地が黒々とした最高の畑に変身します。私の経験では竹林でさえも1年で最高の畑になりました。

 これに気づいたのは、私が新規参入者だったから。土地を持たない私はいろんな農家のいろんな状態の畑をあちこちから借りました。なかには、トラクターで頻繁に耕運された一見きれいで使いやすい畑もありました。でも、3年間堆肥(たいひ)を入れ、牧草を育てて土作りをしても、無農薬で育てようとすると、すぐ虫が集まってきました。

 一方で、畑の形もわからないほど草の生い茂る土地もありました。最初の環境整備こそ大変でしたが、いったん作付けすると、最初の年からほとんど虫の来ない、見るからにうるわしい野菜がすくすく育ったのです。

 長崎では五島や県北地域の農家の皆さんが、私の助言で耕作放棄地での野菜作りに取り組んでいます。今ではその病害虫の少なさ、味、抗酸化力を実感し、今年までに約8ヘクタールの耕作放棄地が立派な農地によみがえりました。

 草や木を切り倒していくと、石積みの棚田が現れてきます。昔、ご先祖さまが子孫のために毎日毎日石を運び、田んぼを作ってきた苦労がしのばれます。全国各地に、山と化した場所で多くの田んぼ跡が眠っていることでしょう。

 多くの農家が周りの耕作放棄地を、再びいのちのめぐる畑に変えるために、そこで育ったワイルド野菜(野性的な野菜)の価値を知り、買い支えてほしいです。 (NPO法人「大地といのちの会」理事長)

=2009/07/26付 西日本新聞朝刊=

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