2006年10月 7日

食卓の向こう側シンポin鹿児島<上>生ごみで「元気野菜」を 吉田俊道代表

 ●「大地といのちの会」(長崎県佐世保市) 吉田 俊道代表 

 生ごみを通して食、農、環境、教育、地域づくりなどについて考える「食卓の向こう側シンポジウムin鹿児島」(自然食の店「やさい村」、かごしま有機無農薬野菜ネットワーク、西日本新聞社共催)が9月30日、鹿児島市の県歴史資料センター黎明館で開かれた。地元の農家やスーパー関係者、主婦、高校生など約200人が参加し、長崎県で広がる生ごみを使った元気野菜づくりの考え方と実践方法に耳を傾けた。パネリストらの発表要旨を3回に分けて紹介する。 (編集委員・佐藤弘)

 ■有機農家が驚く

 今、長崎では二つの奇跡が起きている。

 一つは生ごみマジック。70校の小、中学校や幼稚園、保育園で、初めて野菜を育てた子どもや教師らが、やせた学級農園に学校給食で出る生ごみを入れるだけで、プロも驚くような野菜を作っているのだ。

 本来なら、有機農家が5年も6年もかけ、土づくりしてできるレベル。虫は極端に少なく、ホウレンソウもシュウ酸が少ない。

 なぜ、生ごみを使うと、そんな元気野菜ができるのか。その秘密はごみとして捨てられる皮にある。タマネギの皮に含まれるポリフェノールは、中身の40倍。ゴボウだって皮をむいたら栄養の95%はなくなる。それを土に戻すから、奇跡が起こるのだ。

 もう一つがキャベツのしんやニンジンのへたの部分にある成長点。食べ物の命で生理活性物質に満ちあふれている部分だから、土の中に入れても、ここだけは腐らずにまた芽を出してくる。

 「おいしい野菜に虫が来る」というのはうそ。腐った食べ物にハエがたくさんたかるように、病害虫はまずい野菜、弱い野菜に寄ってくる。長崎ではこれが“常識”になっている。

 ■食育マジック

 奇跡の2番目が食育マジック。土が変わって、食べ物が変わったから、次に君たちのおなか畑(腸内細菌)を変えようと「30回かんで食べよう」「ジュースよりも水かお茶」「感謝していただこう」など17項目のメニューから三つを選んでもらい、子どもたちの食習慣を変えた。すると、「授業が1時間聞けた」「怒りっぽくなくなった」「保健室に行かなくなった」など、1カ月で子どもに目に見える変化が出てきた。

 理由は簡単。現代の子どもは低体温傾向があり、ビタミン、ミネラルが足りない現代型栄養失調症で、生命力が弱っている。そこに、命あるものを食べるようになっただけのことなのだ。

 こうした活動に行政も注目。私が住む長崎県佐世保市では、市長が動きだし、耕作放棄地を利用して、元気な野菜を作り始めた。また、地元百貨店の佐世保玉屋は、屋上のスペースを私たちの事務所として無償で提供。そこで市民に生ごみリサイクルの講習や相談を行っている。

 土の中に入れた生ごみが発酵して熱くなった土に触れれば、感性が変わり、自分と土と食べ物がつながってくることがわかる。まずは、やってみましょうよ。

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