異例の展開論争深まらず 筑後市長に無投票で西田氏 混迷招いた行政区の再編案

初当選が決まり、支持者から花束を受け取る西田正治氏(右)。地域コミュニティーの再編が大きな課題になりそうだ
初当選が決まり、支持者から花束を受け取る西田正治氏(右)。地域コミュニティーの再編が大きな課題になりそうだ
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 筑後市長選は12日、新人で元副市長の西田正治氏(60)が無投票で初当選を果たした。現職の中村征一氏(75)が3期目への立候補を表明しながら、市議会の辞職勧告決議を受け、立候補を撤回する異例の展開。そして、次の4年間を担うのは中村市政を支えた副市長の西田氏。有権者にとって非常に分かりにくい選挙となった。

 前回2013年の市長選で、中村氏は無投票再選。市議会の大半を市長派が占めていたが、4年間で状況は逆転し、9月、辞職勧告決議は出席16議員全員の賛成で可決された。

 背景にあったのは何か。議会側は辞職勧告決議の中で「市長の資質に欠ける」として7項目を挙げたが、中でも反発を招いたのが「中村氏が進めようとした校区コミュニティ協議会構想だった」と市議の一人は打ち明ける。

 将来的な人口減少も見据え、現在76ある行政区を廃止し、11の小学校区コミュニティ協議会に再編する構想。中村氏の前任の桑野照史市長時代に浮上したが、長年、地域自治を担ってきた行政区長会が反発し、構想はいったん頓挫した。

 中村氏は就任後に推進の方向性を打ち出し、区長会の一部が姿勢を転換、中村氏は今年中に具体像を示す約束をしていたが形にできないままだった。区長会は地域代表の色合いの強い市議会の顔ぶれを左右する力を持つ。中村氏の功績を認めた上で「高齢の市長の行政能力では限界がある」(ある区長)と区長会、議会双方で共通認識となり、勇退のレールが敷かれた。

 その中で、中村氏が9月議会で唐突に3選出馬を表明。議会内ではJR西牟田駅の無人化などへの不満も加わり、辞職勧告決議に傾いた。ただ、「市政の大きな流れは変えない」(市議)ため、白羽の矢が立ったのが副市長の西田氏だったという。

 筑後市には今後4年間、市庁舎の建て替えや、市民病院と公立八女総合病院の統合問題など難問が山積している。地域コミュニティー再編についても、西田氏は当選後の記者会見で「来年の3月議会までに方向性を打ち出したい」と述べたが、さまざまな議論を呼ぶことになるだろう。

 その中で、12日に告示された市議補選(被選挙数1)も無投票となり、市民の中からは「全く政策論争を聞くことができなかった」と不満の声が上がった。

 西田氏も「市民説明会などで、しっかりと政策を語っていきたい」と意欲を見せる。分かりにくい形でスタートした市政だからこそ、市民との対話に力を入れてもらいたい。

=2017/11/14付 西日本新聞朝刊=

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