【福岡】筑紫野市「安心安全」どう確立 20日、市長選告示 庁舎や河川防災進む 待機児童は九州最多

潜在保育士の掘り起こしを目指し、筑紫野市が開催した合同就職説明会
潜在保育士の掘り起こしを目指し、筑紫野市が開催した合同就職説明会
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 筑紫野市長選が20日、告示される。立候補を表明したのは今のところ、3選を目指す現職の藤田陽三氏(76)だけで、前回に続き無投票当選の可能性が高まっている。どの地方自治体も直面している災害対策と子育て施策の両分野で、藤田氏がかじ取りを担ってきた市政の現状と課題を整理した。

 「筑紫野市のシンボルとなるこの庁舎に、魂を吹き込むことが大きな使命だと決意を新たにしている」。仕事始めの今月4日、真新しい市庁舎の開庁式のあいさつで、藤田氏はこう力を込めた。

 旧庁舎は、本館の最も古い部分が1936年の建築。増築を重ね分かりにくい構造となり、別館に事務所が分散して使い勝手も悪く、何より災害時に拠点機能を果たせるか不安視されていた。

 新しい庁舎は防災、災害対応を最重点で強化した。建物に免震構造を採用し、大規模災害で電気や水道などライフラインがストップした場合にも、数日間は自立的に業務ができるようにした。玄関前には支援物資を受け入れ、避難所としても活用できる広場を整備。一角にはマンホールトイレも設けている。

 筑紫野市では近年、自然災害が相次ぐ。昨年の西日本豪雨では原田地区で土砂崩れが発生し、宇美町の女性が巻き込まれて亡くなった。また、西鉄二日市駅に近い二日市地区では大雨で高尾川がたびたび氾濫し、近くの商店街などが水没する浸水被害が起きている。

 二日市地区では、高尾川の直下に約1キロの地下トンネルを建設して増水時のバイパスとし、洪水を防ぐ特別緊急事業が着工した。2019年度までの5年間に、総額約78億円を投じる県の事業。県議会議長や自民党県連トップを歴任した藤田氏の、県サイドとの調整手腕を評価する声がある。

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 一方、藤田市政には不名誉な数字も突き付けられている。厚生労働省が昨年9月に発表した18年度のデータで、「待機児童数が九州の自治体で最多」となったことだ。

 筑紫野市の待機児童数は、14年度0人▽15年度63人▽16年度95人▽17年度177人▽18年度181人-と推移。市は保育所を新設・増築して定員増を進めているが、保育ニーズに追い付いていない。市議の一人はこの数字について、「子育ての面で市のマイナスイメージは計り知れない」。

 市は「ハコ」の整備と並行して、「人」の確保にも取り組み始めた。資格を持ちながら現在は働いていない「潜在保育士」に活躍してもらおうと、本年度から合同就職説明会を主催。市内の保育所にブースを設けてもらい、希望者に施設や仕事を紹介する橋渡しを行う。15日には3回目の説明会があり、来場者からは「一度に複数の保育所の話を聴くことができて便利」「何度か参加して説明を聴き、就職する気持ちになった」との感想も聞かれた。

 災害対応も待機児童対策も、暮らしの「安全安心」を守る行政の重要な役目。市民の不安が少しずつ安心に変わるよう、市長には不断の努力が求められることは言うまでもない。

=2019/01/18付 西日本新聞朝刊=

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