がんワクチン実用化へ 久留米大と2企業開発 18年にも承認申請 重症患者も延命効果

ぼうこうから肺に転移したがん(矢印部分)。ワクチン投与前(上)と比べ、12回の投与後(下)は大幅に縮小していることが分かる
ぼうこうから肺に転移したがん(矢印部分)。ワクチン投与前(上)と比べ、12回の投与後(下)は大幅に縮小していることが分かる
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 久留米大(福岡県久留米市)と創薬ベンチャーのグリーンペプタイド(同市)、富士フイルム(東京)は、共同開発した免疫治療薬「がんペプチドワクチン」について、2018年にも医薬品医療機器総合機構(PMDA)に薬事承認申請する方針を明らかにした。臨床試験(治験)では投与した患者の生存期間が大幅に延び、副作用もほぼなかった。医薬品と認められることで患者の負担軽減も期待されており、早ければ19年の発売を見込んでいる。

 治療薬は、開発した12種類のワクチンのうち、血液検査などで患者に最も適した3~4種類を投与することから「テーラーメイドペプチドワクチン」とも呼ばれる。患者が持つ免疫力を活性化し、がん細胞を集中攻撃する仕組みだ。

 現在は手術や抗がん剤、放射線といった従来の治療が難しくなった患者を対象に、日常生活を送りながら余命の延長に主眼を置いた治験を実施。通常の抗がん剤が効かなくなった前立腺がん患者の場合、余命の中央値が10・5カ月だったのに対し、ワクチン治療の結果、17・8カ月と約1・7倍の延命効果を確認した。

 他にぼうこうがんでの効果もあり、患者39人にワクチンを投与したところ、投与しなかった患者41人より生存期間が約2倍に延び、2割超で転移先のがんが縮小したとの結果が得られた。

 既に前立腺がんと脳腫瘍の一種、膠芽(こうが)腫では終了のめどが立ち、今後1年程度で治験を終えたい考え。

 久留米大がんワクチンセンターでは現在、病状が進んだ患者が保険適用のない自由診療でワクチンの投与を受けている。治療費は全て自己負担で高額だが、医薬品となれば保険診療になり負担が抑えられる。

 同大で20年以上研究を続けるセンター所長の伊東恭悟教授は「創薬は長い道のりだったがゴールが見えてきた。がん治療の主流になるよう残りの手続きを滞りなく進めたい」と話している。

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 【ワードBOX】がんペプチドワクチン療法

 患者のがん細胞の目印に似たタンパク質の一部(ペプチド)を皮下注射し、免疫の働きがあるキラーT細胞に攻撃対象を記憶させることで、がんを狙い撃ちする治療方法。久留米大が方式を開発し、3者のグループで治験を実施している。外科手術、抗がん剤、放射線に次ぐ「第4の治療」として期待される免疫療法の一つで、副作用がほとんどないのが特長とされる。久留米大が2013年7月に開設した「がんワクチンセンター」を拠点に研究を進めている。=2016/01/06付 西日本新聞朝刊=

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