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脳や脊髄損傷、神経再生に道 回復妨げる物質抑制成功 九大大学院グループ

 交通事故などで身体のまひにつながる脳や脊髄で傷ついた中枢神経について、神経再生の障害となっている物質の生成抑制に、九州大大学院医学研究院の岡田誠司准教授のグループが成功した。脊髄損傷マウスで神経が再生され、運動機能を回復した。後遺症で不自由な生活を強いられる脊髄損傷や脳損傷の治療法開発に道を開く成果という。19日の米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表した。

 物質は「グリア瘢痕(はんこん)」と呼ばれるかさぶた状の組織で、中枢神経を損傷すると1カ月ほどで損傷部の周囲に現れる。これが神経の再生を邪魔し、まひにつながるとされる。

 グループは脊髄を損傷したマウスの損傷部で、細胞を接着させる機能があるタンパク質「1型コラーゲン」の量が、健康なマウスの20~30倍だったことから、グリア瘢痕の生成に関わっていると仮定。脊髄損傷後のマウスに1型コラーゲンの働きを抑える抗体を脊髄注射で投与したところ、グリア瘢痕が生成されず、神経の再生を確認した。

 抗体を投与しなかったマウスは後ろ足を引きずったのに対し、投与したマウスは脊髄損傷前とほぼ変わらない動きをし、運動機能の回復も証明された。

 中枢神経損傷患者は世界で1500万人以上とされる。治療法は確立されていないが、慶応大などで人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った神経再生研究が進んでいる。岡田准教授は「損傷直後に抗体を投与すれば、iPS細胞を使った治療も効果が上がるのではないか。臨床応用に向け研究を重ねたい」としている。

=2017/06/20付 西日本新聞朝刊=

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