重い股関節症 運動で改善も 靱帯ほぐすと痛み軽減 治療半年で8割に効果 福岡和白病院 林・関節症センター長研究

変形性股関節症に効果がある運動療法を説明する福岡和白病院の林和生・関節症センター長
変形性股関節症に効果がある運動療法を説明する福岡和白病院の林和生・関節症センター長
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軟骨がすり減った変形性股関節症。運動療法後、隙間がなくても痛みが軽減したという
軟骨がすり減った変形性股関節症。運動療法後、隙間がなくても痛みが軽減したという
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正常な股関節。矢印の部分に軟骨による“隙間”がある
正常な股関節。矢印の部分に軟骨による“隙間”がある
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靭帯(赤色部分)のねじれなどが痛みの原因として考えられるという
靭帯(赤色部分)のねじれなどが痛みの原因として考えられるという
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 脚の付け根が痛む変形性股関節症について、重症でも運動療法で症状が改善する可能性があることが、福岡和白病院(福岡市)の林和生・関節症センター長の研究で分かった。同関節症は軟骨のすり減りで骨同士が接触するのが原因とされる。人工股関節置換手術が一般的ながら、運動療法で股関節周辺の靭帯(じんたい)をほぐすと、痛みが軽減する症例が相次いだという。効果を裏付けるため、近く他病院と共同研究を始める予定で、林センター長は「靭帯のねじれなどが痛みの原因と考えられる。新治療法として確立したい」と話す。

 2011~13年に受診した患者のうち、運動療法を採り入れた重症の285症例について、一般社団法人九州臨床研究支援センター(福岡市)の協力を得て分析した。その結果、治療開始3カ月後から効果が表れ、半年以内に約8割で症状が改善したという。15年の世界変形性関節症会議と16年の日本股関節学会学術集会で発表し、今秋発刊の学会誌に掲載される。

 運動療法は「ゆうきプログラム」(学術名・PSTRエクササイズ)と呼ばれ、膝・股関節専門治療院「ゆうき指圧」(大阪)の大谷内輝夫院長が編みだした。立て膝状態で膝を八の字に動かすことで、靭帯のねじれのほか、脚の可動域が狭まる、靭帯の拘縮をほぐす療法だ。林センター長によると、初診時のテスト診断でも椅子から立ち上がる時や歩行で第一歩を踏み出す時の「動作時痛」が和らぎ、股関節の可動域が広がるケースもあった。

 変形性股関節症は、骨盤の寛骨臼と大腿(だいたい)骨頭の間にある軟骨がすり減り、エックス線撮影で骨同士の接触が確認された場合に診断される。老化や激しい運動などが要因で、重症の場合には手術で寛骨臼を削って間隔を広げ、人工股関節を装着する。林センター長によると、運動療法を実践した患者は、骨同士が接触しているにもかかわらず症状の改善がみられたため、症例を重ねていったという。共同研究は同様の運動療法を実践している長野県佐久市の市立国保浅間総合病院と実施。各100症例で効果を検証する。

 変形股関節症の患者は400万人と推定され、人工股関節置換手術は年間約6万件。一般的にリハビリ期間を含め1カ月程度の入院が必要で、治療費は200万~230万円(自己負担額は6万~8万円程度)。一方、運動療法は2~4週間に1度来院し、治療時間は1回30分前後。3カ月間通院した場合の治療費は9千~1万8千円(同3千~6千円)に収まるという。

 林センター長は「痛みの発生源が靭帯なら、従来の診断法を見直す必要がある。重症でも手術が回避できることを共同研究で確認したい」と話している。


=2017/07/03付 西日本新聞朝刊=

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