「病名言いづらい」男性の乳がん、特有の悩み抱え孤立 初の患者交流会開く

男性乳がん患者(右側3人)が悩みを語り合った交流会=1月中旬、東京
男性乳がん患者(右側3人)が悩みを語り合った交流会=1月中旬、東京
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 女性特有のがんと思われがちな乳がんだが、男性も発症する。ただ、患者全体の1%未満と少ない上、「病名が言いづらい」「情報が少ない」など女性にはない悩みを抱え、孤立しがちだという。1月に都内で開かれた男性患者の交流会「メンズBC」を取材した。

 交流会は、がん患者を支援する認定NPO法人「キャンサーネットジャパン」(東京)が初めて企画。関東在住の50~60代の男性3人が参加した。

 埼玉県から参加した男性(64)は5年前、左胸のしこりに気付いた。「脂肪の固まりかも」と、かかりつけ医に見せると「すぐ大きな病院で検査を」と勧められた。診断結果は乳がん。「全く頭になかった」。既にステージ3でリンパ節にも転移があった。

 男性向けの治療はなく、女性に準じた治療が行われた。乳房切除手術や化学療法を経て、現在は女性ホルモンを抑制するホルモン療法を受けている。「副作用で手足のしびれがひどい。他の男性患者はどうしているのか知りたくて参加した」と話した。

 アドバイザーを務めた国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科の下村昭彦医師によると、男性にも乳腺組織があるため、乳がんになる。50~70代で発病する例が多く、家系に乳がん患者がいる人、肝臓疾患がある人などはリスクが高いという。「男性も乳がんになると知らないことが、受診の遅れにつながっているのでは」と懸念する。

 参加者が口々に訴えたのが、男性ならではの居心地の悪さだ。

 埼玉県の病院職員(50)は4年前、大腸がんの手術後の検査で左胸に初期の乳がんが見つかった。インターネットにも情報はほとんどなく「入院中、隣の病室で女性患者同士が情報交換しているのがうらやましかった」と振り返る。

 マンモグラフィー(乳房専用エックス線撮影)検査室を出た際、居合わせた女性たちから浴びた「えっ」という視線が忘れられない。病名を打ち明けると「おっぱいあるの?」と聞かれたことにも傷ついた。

 右胸の乳がんが再発し、抗がん剤治療中の横浜市の男性(63)も「妻と病院に行くと、妻が乳がんだと勘違いされ、『奥さん、大変ですね』と声を掛けられる」と苦笑いした。

 日本乳癌学会のデータから下村医師が計算したところ、2015年に新たに乳がんと診断された患者約8万7千人のうち、男性は1%未満の560人。04年から10倍に増えている。

 これまで男性患者向けの支援はほとんどなかった。「交流会で、診察室では分からない患者の悩みを知った」と下村医師。乳がん経験者でもある同法人の大友明子さんは「女性なら患者同士の会話で当たり前に知っている情報も男性には届いていない。交流会を続け、全国にも広げていきたい」と話す。

 4月14日に都内で第2回交流会を開催予定。参加申し込み、問い合わせは同法人=03(5840)6072=か、ホームページへ。

=2018/02/19付 西日本新聞朝刊=

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