80歳で残る歯 日本→12本、米国→19本 保険適用外、進まぬ予防歯科 専門医の新たな取り組み

専門治療を施す「つきやま歯科医院専門医療センター天神」
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 歯のトラブル予防を目的に、より高度で専門的な歯科医療を提供するための地域ネットワークづくりに、福岡県内の歯科医たちが取り組んでいる。予防を重視する歯科医院、インプラント(人工歯根)や矯正などの専門医が連携。一般の歯科医院と違い、提供される専門医療の多くは保険適用外となるが、歯科医たちは「歯を美しく整えれば、歯磨きもしやすく、予防にも効果的。予防を怠ると、治療にかかる時間や費用など、将来の負担がより大きくなる」と呼び掛けている。

 福岡市に6月開業した「つきやま歯科医院専門医療センター天神」がネットワークの拠点的役割を担う。院長の築山鉄平さん(42)は歯周病とインプラント治療などが専門、副院長の木戸淳太さん(37)は入れ歯やブリッジなど補綴(ほてつ)(歯の修復)の分野を専門とする。2人とも30代で歯科先進国とされる米国のタフツ大に留学し、米歯科医師会認定の専門医資格を取得した。築山さんは欧州インプラント学会の認定も受けており、日本で唯一、欧米の専門医資格を併せ持つ。

 同センターは、2人の専門外となる矯正や歯内療法(歯の根っこの治療)の専門医、予防歯科など、福岡県内13の歯科医院と提携。原則として提携医院からの紹介や処置依頼がある患者に、保険適用外の専門治療を施す。これまでに、取り外し式の総入れ歯だった患者にインプラントを埋め、固定式に切り替えたり、矯正後に前歯の色や形が気になるという女性に、自然な歯の色を再現できるセラミック治療を施したりしたという。

 センターからは、提携医院への紹介や予防メンテナンスの依頼などを行う。費用が高額なケースもあるため、事前に詳しく説明し、費用ごとに数パターンの治療法を提案している。

 学術論文や厚生労働省の調査によると、日本では、虫歯や歯周病などの治療のために歯科を受診する人がほとんど。一方、米国や同じ歯科先進国のスウェーデンでは、国民の7~9割が予防のために定期受診している。こうした背景から、80歳で残る歯の平均本数は、米国で19本、スウェーデンでは21本というデータもある。これに対し日本では12本にとどまり、治療による詰め物やかぶせ物などの寿命も短い傾向にあるという。

 主に保険適用外となる予防歯科は、年数回の受診で計5万円ほどの負担になるが、築山さんは「予防を続けなければ、治療を続けても、歯はなくなっていく。高齢社会の中で、いつまでも健康な歯で過ごしてもらうことが歯科医の使命」と、専門医たちの連携の意義を強調している。つきやま歯科医院専門医療センター天神=092(738)8028。

 ●歯ブラシがスマホと連動

 つきやま歯科医院専門医療センター天神と同医院井尻本院(福岡市南区、築山雄次院長)は、インターネットを活用した予防歯科サービスにも取り組んでいる。専用機器を取り付けた歯ブラシと、スマートフォンやタブレット端末を連動させ、患者の磨き方をチェックし、正しい歯磨きを指南する。ゲーム感覚で楽しめる子ども向けアプリもあり、幼少期からの予防にも効果が期待される。

 歯ブラシの動きから磨き方の癖や磨き残しを分析し、採点化される。データはネット上で歯科医院と共有され、医院側は適切な磨き方を指導。患者は自分の歯のエックス線写真や歯周病検査の結果も、スマホや端末で見ることができる。

 子ども向けアプリでは、歯を磨くと虫歯菌をやっつけていくアニメ=写真=が流れ、磨き方が強すぎると「もっとやさしく」の文字が画面に表示される。楽しみながら歯磨きができると、保護者らにも好評だという。

 サンスターのグループ会社と富士通が歯科医院向けに開発。地域ぐるみの予防歯科に取り組む山形県酒田市の診療所が2016年に導入した。西日本でのサービスは初めてという。

=2018/07/30付 西日本新聞朝刊=

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