神経障害性疼痛「自己抗体」が一因 九大院の研究グループが解明 早期発見、治療法確立の期待

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 九州大大学院医学研究院の研究グループは、強烈な痛みやしびれが生じる「神経障害性疼痛(とうつう)」について、痛みを伝える感覚神経を攻撃する「自己抗体」が一因となっていることを解明した。国内に約600万人の患者がいるとされ、その一部の早期診断や治療法確立につながると期待される。

 同疼痛は、がんや糖尿病、帯状疱疹(ほうしん)、脳梗塞などさまざまな病気による感覚神経の損傷が原因。患者の3分の2以上は痛みを鎮める有効な治療法がないという。

 本来、抗体は体内に侵入した細菌やウイルスなどを攻撃するが、自己抗体は体内の正常な組織を攻撃して疾患を引き起こす。研究グループは、英国の研究者が2016年に提唱した自己抗体が同疼痛を引き起こすという仮説に着目。痛みの神経伝達経路のうち、自己抗体が侵入しやすい感覚神経を調べた。

 その結果、患者110人の1割(11人)の血液中に自己抗体が存在し、「Plexin(プレキシン)D1」というタンパク質を攻撃して感覚神経を傷つけていた。この多くは女性で、アレルギー疾患や膠原(こうげん)病などの疾患があった。また、抗体の産生を抑える免疫治療を施した人は全員痛みが緩和しており、免疫治療が有効と考えられるという。

 研究グループは、この自己抗体を測定する検査方法の開発を進めており、数年内の実用化を目指している。同研究院の吉良潤一教授(神経内科)=写真=は「将来、この自己抗体を検出できるようになれば、免疫治療で痛みを軽減できる可能性がある」としている。研究結果は7月中旬、米国神経学会誌のオンライン速報版に掲載された。

=2018/09/03付 西日本新聞朝刊=

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