風疹 流行の恐れ 定期接種ない世代も 医師「抗体検査を」

流行の兆しを見せる風疹への注意を呼び掛ける飯塚病院の的野多加志医師
流行の兆しを見せる風疹への注意を呼び掛ける飯塚病院の的野多加志医師
写真を見る
写真を見る

 風疹患者が今夏以降、関東を中心に増え続けている。国立感染症研究所の19日の発表によると、今年の患者報告数(9日現在)は496人。九州は福岡県11人、宮崎県2人の計13人にとどまるものの、全国では既に昨年1年間の5倍を超える。約1万7千人の患者が出た2012~13年以来の大流行となる恐れもある。

 風疹はせきやくしゃみで飛沫(ひまつ)感染する。体内にウイルスが侵入した後、2~3週間の潜伏期間を経て発症し、発熱や発疹、首の後ろのリンパ節の腫れなどが出る。感染者の2割ほどは症状が現れないという。

 感染症に詳しい飯塚病院(福岡県飯塚市)の的野多加志医師によると、感染力は強く、1人の患者が免疫のない5~7人にウイルスを広げる。インフルエンザの3~5倍で「感染者がねずみ算式に増えてしまう」と懸念する。

 最も注意が必要なのは、妊婦への感染だ。妊娠20週ごろまでに感染すると、生まれてきた赤ちゃんが難聴や白内障、心臓病などを患う「先天性風疹症候群」(CRS)となる恐れがある。妊娠1カ月で感染すると50%以上の胎児に影響し、死に至る例もあるという。12~14年には45人が発症した。

 どうすれば感染拡大を食い止められるのか。的野医師は「患者は20~50代の男性に集中している。この世代が抗体を持つことが流行の制圧につながる」と指摘する。

 現在は男女ともに、幼児期に定期予防接種で風疹ワクチンを接種する。ところが、1990年4月1日以前に生まれた人は制度変更などで、生まれた年や性別によって接種機会や回数が異なる。接種1回で免疫ができる人の割合は95%、接種2回では99%とされ、1回では免疫が不十分な人もいる。

 的野医師が特に心配するのは、79年4月1日以前に生まれた男性。幼少時に定期接種がなく、免疫がない人が多いという。「妊婦の夫や父親となりうる世代。職場や外出先で風疹をうつす恐れもある」として、抗体がない場合はワクチン接種を勧める。医療機関によって異なるが、風疹ワクチンは6千~8千円、麻疹(ましん)風疹混合(MR)ワクチンは1万円前後という。

 患者報告数は東京の146人が最多。次いで千葉122人▽神奈川54人▽埼玉34人-と続き、関東が中心だ。ただ、的野医師は「感染症は人口密度の高い地域から流行し、今後は九州に広がる可能性もある。抗体の有無が分からなければ、母子手帳でワクチン接種歴を確認したり、医療機関で抗体検査を受けたりしてほしい」と呼び掛けている。

=2018/09/24付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]