「妊娠できる?」「下着が地味で落ち込んだ」若年性乳がんの悩み 体験者が思い共有

20~30代で乳がんを経験した女性たちが悩みや体験を語り合った=9月上旬、福岡市南区の九州がんセンター
20~30代で乳がんを経験した女性たちが悩みや体験を語り合った=9月上旬、福岡市南区の九州がんセンター
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 ●私は乳がん 若さゆえの悩み 話したい

 20~30代で乳がんを患った「若年性乳がん体験者のおしゃべり会」が9月上旬、福岡市南区の九州がんセンターであった。九州では初開催とあって、福岡や長崎などから、25~47歳の当事者とその家族30人が参加した。10月は乳がんに関する正しい知識を普及する「ピンクリボン月間」。若くして闘病を体験した女性たちの悩みや思いに耳を傾けた。

 乳がんは日本人女性に最も多いがんで、2014年に新たに診断された人は約7万6千人。11人に1人が発症するとされ、40~50代で急増する。

 一方、30代以下で発症する人も全体の約6%を占める。年間約4600人と数が少ないため、同世代の患者と知り合う機会が少なく、結婚や出産、仕事など、中高年の患者と異なる悩みや困り事を抱え込んでしまう。

 おしゃべり会を主催したのは「若年性乳がんサポートコミュニティPink Ring(ピンクリング)」(東京)。医療関係者と患者が8年前に共同で活動を始めた。17年度は延べ494人が参加、メール会員は約350人に上る。東北や北海道にも支部ができ、全国におしゃべり会を広げている。

 福岡市ではまず、ピンクリングの創設に関わった聖路加国際病院(東京)の北野敦子医師が、将来、妊娠する能力(妊孕能(にんようのう))などについて講演した。

 標準治療の一つ、抗がん剤治療を受けると、卵巣機能は、個人差はあるものの約10歳老化するとされ、妊娠する能力は低下し、一定の割合で不妊も生じるという。このため、治療開始前に、パートナーがいれば胚(受精卵)凍結、パートナーがいなければ卵子凍結という生殖補助医療がある。研究段階ではあるが、卵巣組織そのものを凍結保存する卵巣凍結という選択肢もあることを紹介した。

 北野医師は「主治医と不妊のリスクについてよく話し合って治療法を選択することが大事だ」と指摘。「同じ病気でも受け止め方は千差万別。正解も不正解もない。自分らしい向き合い方を見つけてほしい」と呼び掛けた。

 「パートナーにいつ話せばいいの?」「医療用下着が地味で落ち込んだ。この先ずっと地味に生きなきゃいけないのかって」「親や友達にも『かわいそう』と思われたくなくて、弱音を吐けなかった」…。

 講演後、約1時間半のおしゃべり会は、手術や治療による外見の変化、結婚や妊娠などについての悩みを打ち明け合った。29歳で告知を受けた福岡県の会社員あさみさん(34)は「今後の結婚、妊娠、出産が一番不安だけど、友達には分かってもらえない。この日は経験者同士で思いを共有できただけで、気持ちが楽になった」と表情が和らいだ。

 会の後は治療中でもおしゃれを楽しんでもらいたいと、希望者にプロのヘアメークを施すイベントを開催。診断された年齢を掲げての「サバイバーズ・フォト」を撮影し、笑顔を輝かせた。

 主催者で、自らも治療を続けている山口県周南市の井上裕香子さん(37)は「お互いの経験を分かち合うことで不安が和らぐ。特に、妊娠や出産など若いからこその悩みを打ち明け、そのまま受け入れてもらえる場は生きる力になる。今後も定期的に集まっていきたい」と話した。

=2018/10/07付 西日本新聞朝刊=

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