「梅毒」の検査受けてみた 予約なし匿名OK 採血するだけ3分で終了

梅毒の抗体検査は採血だけでできる=11日午前、福岡市博多区保健福祉センター
梅毒の抗体検査は採血だけでできる=11日午前、福岡市博多区保健福祉センター
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福岡市博多区保健福祉センター内の待合室
福岡市博多区保健福祉センター内の待合室
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福岡市博多区保健福祉センターの古賀康雅医師
福岡市博多区保健福祉センターの古賀康雅医師
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 性行為などで感染する梅毒の患者数が増え続けている。国立感染症研究所の集計によると、14日までの患者数は5365人(うち九州7県は計425人)と、昨年同期(速報値)より900人も多い。現行の集計方式となった1999年以降最多だった昨年の5820人(同)を上回るペースで急増。保健所などが行う梅毒の検査に足を運ぶ人も増えているという。どんな検査なのか、記者が実際に受けてみた。

 性行為の低年齢化や外国人旅行客の増加などが患者急増の一因として指摘されているものの、はっきりとした原因は分かっていない。福岡県も、14日までの患者数が東京都(1355人)、大阪府(927人)などに続き、全国5番目に多い244人に達している。

 福岡市のJR博多駅に近い、博多区保健福祉センターでは毎週木曜の午前9~11時、検査を実施。同市の場合、検査料は610円で予約は必要ない。17年度の同市の受検者は1137人と、13年度の1・5倍以上に伸びているという。

 「こんにちは。どうぞ~」。センター2階の受付で、検査申込書をもらって記入する。匿名で受けられ、申込書にある年齢欄の記入も任意だ。匿名なので、個人番号「9898」が私に割り当てられた。

 意外だったのは、検査を受ける人、結果を聞きに来た人が集まる受付横の待合室。ソファが並び、来訪者は顔を合わせ、明るくてオープンな雰囲気だった。私が足を運んだ午前11時前には男女5、6人が順番を待っていた。職員によると「誰もが感染するリスクがあり、検査を受けるのは普通のこと。あまりものものしくならないように意識している」。

 待合室で数分待って、個室へ。保健師から「どうして検査を受けようと思ったか」「特に困っている症状はないか」などを優しく聞かれた後、不安や分からないことを質問できる。

 検査は、健康診断で受けるような採血のみ。5ミリリットルを1本採るだけなので、2~3分で終わった。知人とばったり会う可能性がゼロではない点は少し気になったが、予想以上に簡単だった。1日10~20人が検査に訪れるという同センターでは、待ち時間を含めて30分もあればいいそうだ。

 1週間後。センターに結果を聞きに行く。検査は「梅毒の細菌と体が闘った名残」である抗体の有無を確認するもの。最近、梅毒に感染した人が陽性になる傾向があるRPR法と、数年前など過去の感染者が陽性になる傾向があるTPHA法の2種類。この結果を医師が総合的に診て医療機関の受診が必要かどうか伝えてくれる。私はどちらも「陰性」だった。感染が疑われる場合は紹介状も出してくれる。

 希望すれば、クラミジアやエイズウイルス(HIV)の検査(無料)も同時に受けられる。

 梅毒は感染後、一時的に症状が消えることがあるという。人に感染させたり、再感染したりしないためにも、少しでも気になったら、悩む前に検査を受けることが大切だ。

 ●梅毒どんな症状 痛くないしこり、手のひらに発疹 福岡市博多区保健福祉センター 古賀康雅医師

 性感染症として知られる梅毒はどんな病気なのか。内科医で感染症に詳しい福岡市博多区保健福祉センター健康課の古賀康雅医師に聞いた。

 -梅毒の原因は。

 「梅毒トレポネーマという細菌が原因で、主な感染経路は感染者の陰部や口と、非感染者の陰部や口との直接の接触。性行為のほか、性器と口の接触(オーラルセックス)、キスなどでもうつるケースがある」

 -どんな症状か。

 「症状の進行は、第1期(感染後約3週間)、第2期(同数カ月)、晩期顕性期(同数年)の3段階。第1期は、口など感染した部位にしこりができたり、股の付け根部分のリンパ節が腫れたりする。痛みはないのが特徴だ」

 「第2期は、病原菌が血液によって運ばれ、全身に赤い発疹が出る。他の病気ではほとんど出ない手のひらや足の裏にも出るので見逃してはいけない。晩期顕性期は、皮膚や骨などに硬いゴムのような腫瘤(しゅりゅう)が発生する。脳や心臓に重大な合併症を起こし、命を落とすこともある。ただ現在はほとんどが第2期までに気付き、治療できる」

 -治療法は。

 「第1期、第2期は、ペニシリン系の抗菌薬を飲めば完治できる。1日3~4回の服薬が2~8週間必要。経過などにより治療期間の延長もあり得るので、主治医の指示を守ってほしい」

 -感染防止策は。

 「感染部位と接触しないように、コンドームを使用することは一定の効果がある。ただ、覆えない部分から感染することもあり、100%防ぐことはできない。感染が発覚したら、性的な接触を控えること、完治後の再感染を防ぐためにも、パートナーにも検査を受けてもらうことが大事だ」

 -伝えたいことは。

 「妊娠中に梅毒に感染した場合、早産や死産、胎児に重い障害を残す恐れもあり、特に注意が必要だ」

 「『不特定多数の人と性行為をした人が感染する』というイメージがなかなか払拭(ふっしょく)できていないが、誰でも感染するリスクがある。採血だけの検査なので気になることがあれば受診してほしい」

=2018/10/29付 西日本新聞朝刊=

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