「悲劇を繰り返さないで」身体拘束後に死亡した患者…遺族の願い

ケリー・サベジさんの遺影を掲げ、身体拘束の改善を求める母マーサさん(右)と兄パトリックさん(左)
ケリー・サベジさんの遺影を掲げ、身体拘束の改善を求める母マーサさん(右)と兄パトリックさん(左)
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 同じような悲劇が二度と起きませんように-。身体拘束を受けた後に亡くなった患者の遺族が声を上げ始めた。きっかけは昨年5月、鹿児島県で英語教師として働いていたニュージーランド人男性が亡くなったこと。遺族らは、国際的な潮流に逆行する日本の現状を変えたいと願う。

現状変えよう 署名運動や裁判も

 ケリー・サベジさん=当時(27)=は、神奈川県内の精神科病院で身体拘束を受け10日後に心肺停止となり、転院先で亡くなった。兄のパトリックさん(33)=同県在住=は「病院には治療は適切だったと言われたが、長期間の拘束で血栓ができた可能性がある」と主張。母のマーサさん(61)は「他国では身体拘束されることはまれ。長期間の拘束を許容する日本の現状はおかしい」と訴える。

 2人は杏林大の長谷川利夫教授と共に「精神科医療の身体拘束を考える会」を結成。現状を変えようと署名活動を始め、8千人以上の賛同を集めている。11月16日には国内外の精神科医31人が署名した「国際的な調査委員会をつくり、日本の身体拘束のあり方を見直すべきだ」という意見書を政府に提出した。

 「身体拘束が不適切だった」として患者や家族が裁判を起こすケースも、公表されているだけでも今年は3件に上る。原告の一人、大畠正晴さん(68)は長男の一也さん=当時(40)=が石川県内の精神科病院で7日間の身体拘束を受けた後、エコノミークラス症候群で亡くなった。正晴さんは「こんな目に遭うのは息子を最後にしてほしい。拘束が日本からなくなる日を願っている」と話している。

 

=2018/12/03付 西日本新聞朝刊=

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