脳に損傷、意思疎通が不能 「遷延性意識障害」の情報 届けたい 家族会 21日に福岡市で講演会

事故から5年、寝たきりの次男傑さん(左)に声を掛け続ける望月玉美さん
事故から5年、寝たきりの次男傑さん(左)に声を掛け続ける望月玉美さん
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 事故や病気で脳に損傷を受け、意思疎通などができない「植物状態」が続く遷延性意識障害。九州の患者と家族でつくる遷延性意識障害者・家族の会九州「つくし」が21日、福岡市で講演会を開く。寝たきりの当事者の介護を続ける家族たちは「障害について知ってもらい、同じ境遇の人たちに必要な情報を届けたい」と呼び掛ける。

 会によると、この障害は、自力での移動や摂食、意思疎通が不可能▽意味のある発語ができない▽眼球は動いても認識することができない-などが3カ月以上続く状態。会は2015年4月、九州6県の16家族で発足、現在は55家族が参加している。

 発足メンバーの望月玉美さん(56)=福岡県新宮町=の次男傑(すぐる)さん(24)は5年前から意識障害が続く。免許取りたてでドライブに出掛け、バスと衝突。救急搬送された病院の医師の説明は「脳幹挫傷です。80%は諦めてください」だった。転院を繰り返し、今は6カ所目。胃ろうで栄養を取り、気管も切開している。

 玉美さんは「最初の1年間は真っ暗なトンネルにいるようで、何を見ても涙が出た」。つくしに参加し「いつか意識が戻る」と奇跡を信じるようになった。毎日、病室で声を掛け、まばたきの動きを確かめる。いずれ自宅を改築して在宅介護をしようと考えている。

 ただ、この意識障害は医療的ケアが必要な人も多く、受け入れる介護施設やヘルパーは少ない。くも膜下出血で倒れた妻伊佐さん(69)を在宅で介護する谷口正春代表(69)=宮崎市=は「たんの吸引などができる介護職やショートステイの拡充など、当事者が安心できる社会にしたい」と訴える。

 講演会は21日午後1時半~5時、福岡市博多区博多駅東のリファレンス駅東ビルで。東京理科大教授の講演「人間の動きをサポートする技術の紹介-『生きている限り自立した生活』の実現を目指して」、開発中の歩行器の実演がある。参加無料。定員130人。

=2019/04/08付 西日本新聞朝刊=

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