硫黄山噴火1ヵ月 有害泥に自治体は苦慮 川底や沈殿池に堆積 梅雨期に流出の恐れも [宮崎県]

硫黄山からの泥水の不純物を堆積させるため、えびの高原の沢に設置された土のう=16日、宮崎県えびの市
硫黄山からの泥水の不純物を堆積させるため、えびの高原の沢に設置された土のう=16日、宮崎県えびの市
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 宮崎県えびの市にある霧島連山・えびの高原(硫黄山)が250年ぶりに噴火して19日で1カ月。硫黄山は4月27日以降噴火は観測されていないが、周辺河川は白濁し、ヒ素など有害物質を検出。地元自治体は沈殿池を造成するなど応急対策に乗り出している。ただ、梅雨を前に堆積泥の処理方法など抜本対策のめどは立たず、頭を抱えている。

 4月19日の硫黄山噴火後、長江川の上流の赤子川では環境基準の約200倍のヒ素を検出。宮崎、鹿児島両県の長江川や下流の川内川流域では5月上旬までに計約6トンの魚の死骸が回収され、3市町の千戸以上の農家が今季の稲作を断念した。飲料用水としては取水されておらず、健康被害の報告はないという。

 えびの市は、赤子川に沈殿池を造成し、えびの高原内の沢4カ所に土のうを設置。不純物を沈殿、堆積させて上澄みを下流に流すようにしている。宮崎県の水質検査(9日採水)では、長江川ではヒ素など複数の項目でなお環境基準を上回っているが、川内川はほぼ基準内に下がったという。

 宮崎大の伊藤健一准教授(水・土壌汚染)は「泥が下流にいかないようにして水質をより改善させていくことが大事だ」と指摘。市は梅雨入り前の6月上旬までに、火口から約1キロ地点にも、沢の水を引き込んで、縦約25メートル、幅約30メートル、深さ3~4メートルのプールのような沈殿池を造る計画だ。

 問題は、川底や沈殿池に増え続ける泥の処理だ。えびの高原は年間降水量の平年値が約4400ミリと屋久島と並ぶ国内最多雨地帯で、6月から8月に年間降水量の半分の雨が降るため、沈殿池の水があふれ出たり水底の泥がより下流に流れたりする恐れがある。河川の管轄も国、県、市にまたがり複雑だ。

 宮崎県がえびの市や国の出先機関、鹿児島県など30を超える関係部署に呼び掛けて16日に開いた「硫黄山・河川白濁対策協議会」の初会合では泥を今後取り除く方針を確認。ただ、除去方法や土砂の仮置き場、処理施設は決まっていない。

 しゅんせつ土砂は廃棄物処理法の対象外だが、汚泥と判断すれば産業廃棄物処理が必要となる。えびの市の担当者は「泥は火山活動に伴う自然由来で判断が難しい。分析結果を待って処理方法を検討するが、経費もかかる」と頭を抱える。

=2018/05/19付 西日本新聞朝刊=

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