飫肥藩の名刀、米から73年ぶり返還へ GHQ接収 所有者の米国男性が申し出る [宮崎県]

GHQの刀剣類接収で、米国に渡った飫肥藩上級家臣伊東家の日本刀
GHQの刀剣類接収で、米国に渡った飫肥藩上級家臣伊東家の日本刀
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日本刀に付けられていた木札。「飫肥町」、「伊東松作」と書かれている
日本刀に付けられていた木札。「飫肥町」、「伊東松作」と書かれている
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 終戦直後、連合国軍総司令部(GHQ)に接収されるなどして米国に持ち出された日本刀が、飫肥(おび)藩(宮崎県日南市)の上級家臣の家に伝わるものと分かり、日本へ返還される計画が進められている。

 日本刀は米国・ミネソタ州の米国人男性が所有。男性は刀と、ひもで結ばれた木札の画像をインターネットの掲示板に投稿し「この木札は何だろう」とコメントを添えた。木札には「宮崎県飫肥町十文字 伊東松作(しょうさく)」と書かれていた。軍人で太平洋戦線にいた男性の祖父が持ち帰ったという。

 昨秋、仕事で情報収集をしていた伝統工芸品販売コンサルタントの矢野貴志さん=東京都=が投稿に気付いて反応。男性に木札の文字は住所と持ち主の名前であることを伝えたところ、返還の意思を示したため、飫肥藩があった日南市の教育委員会に調査を依頼した。

 その結果、十文字は藩の上級武士の居住区で、伊東松作は主家から分家し、家老職を務める家柄の子孫と判明。屋敷跡は市文化財にも指定されていた。松作の孫が大阪で健在であることも分かった。

 矢野さんによると、米国人男性が日本に行って直接返還する意向を示していることについて孫の男性は「個人での保管は難しい。日南市に寄贈したい」と答えたという。

 刀の銘にあった「藤原国筧(くにたけ)」は、飫肥出身で安土桃山時代末期以降の新刀期を代表する刀工堀川国広の一門とされる。市教委は「返還の環境が整えば保管し、展示を考えたい」と話す。

 矢野さんは「返還は日米友好の証し。ぜひ実現させたい」と日南市での返還式を計画。自費で訪日を予定している米国人男性の旅費を負担し、返還の礼に新たな日本刀も贈る考えだ。

 費用は、インターネットで寄付を募るクラウドファンディング(CF)を活用し目標額は約300万円。7月20日まで受け付ける。問い合わせは日南市教育委員会=0987(31)1145。CFの詳細は、https://readyfor.jp/projects/16683

=2018/06/27付 西日本新聞夕刊=

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