旧優勢保護法下 強制不妊、関係文書を公開 宮崎県が判明37人分 [宮崎県]

旧優生保護法に基づき、強制的に不妊手術が行われた可能性がある37人の個人名が記された行政関係文書3冊
旧優生保護法に基づき、強制的に不妊手術が行われた可能性がある37人の個人名が記された行政関係文書3冊
写真を見る

 宮崎県は8月6日から、旧優生保護法(1948~96年)に基づき、強制的に不妊手術が行われた可能性がある37人の個人名が記された行政関係文書3冊の閲覧を県文書センター(宮崎市旭)などで始めた。個人名や住所、家族の名前など、個人が特定されるような情報は全て黒塗りにされた。手術を受けた当事者が閲覧を希望する場合は、本人確認の上で個人情報も開示するが、プライバシーに配慮し、県側から本人に直接、連絡を取ることはしないとしている。

 県はこれまで、個人が特定できる資料は「確認できない」と国や県議会に報告していたが、誤って資料を閲覧対象外としていたり、書庫の調査漏れがあったりしたことが7月に判明し、確認分について公表した。

 旧優生保護法は、ナチス・ドイツの「断種法」の考えを取り入れた国民優生法が前身で、1948年に施行された。知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に、本人同意がない場合でも都道府県の優生保護審査会の判断で不妊手術を容認していた。県衛生統計年報などによると、同法下にあった48~96年、県内で行われた優生手術は283件だったという。

 「歴史資料」として今回公開されたのは55年度の資料「公衆衛生」で17人、65年の資料「優生保護審査会」で19人分の名前がそれぞれ記されている。内訳は男性2人、女性34人。「手術実施」を確認できたのが25人、「手術決定」と判断されたが、手術の有無が分からない人が11人。診察した医師による強制手術の申請書、当事者の健康診断書、家族構成や病状を示した文書などを含む。

 「優生保護審査会」の資料には、妊娠中を理由に「早急に措置せねばなりませんので緊急に審議いただきますよう申し添えます」とする保健所長から県部長に宛てた文書などが残っていた。

 また県庁書庫から見つかった96年度の資料「優生保護審査会」にも、優生手術被申請者として女性1人の名があったが、手術決定の有無や手術の実施について記されていなかった。この資料は県が公文書扱いとしているため、閲覧には開示請求が必要。

 公開初日の6日に同センターで資料を閲覧した宮崎市のNPO法人障害者自立応援センター「YAH!DO(やっど)みやざき」の永山昌彦理事(64)は「障害がある人を『あってはならないもの』と捉えたことがうかがえ、むなしい。今回の資料を教訓にし、共生社会の実現につなげるべきだ」と訴えた。

 旧優勢保護法に関する相談窓口は県健康増進課=0985(44)2621。

=2018/08/10 西日本新聞=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]