選定委は地方自治法違反か 佐世保市の保育所事業者 条例による付属機関に当たらず [長崎県]

 佐世保市の保育所施設整備事業で保育所の新設・運営業者を決める選定委員会について「議会のチェックが入らず、閉ざされた中で選ばれている」と意思決定の不透明さを指摘する声が上がっている。選定委が、議会の議決が必要な条例に基づく地方自治法の「付属機関」でなく、市の要綱によって設けられた任意の機関であるためで、同様の組織は佐世保市に限らず各自治体に設置され、施策の意思決定過程に関与している。任意機関の意思決定を巡ってはこれまでも不透明性を問題視するケースがみられ、同法違反とした判例があるほか、専門家もその違法性を指摘している。

 事業は待機児童対策の一環で、新たに保育所を建設し運営する事業者に市などが補助金を出す。本年度は事業者を選定する計画で、6月に事業者を募集した。市は要綱に基づき有識者や市の幼児教育センター所長など5人からなる選定委を設置。選定委は審議の中で建設予定地の調査や事業者への聞き取りをして点数化し、7月、評価点数が高かった事業者を市が選んだ。

 地方自治法では、自治体の事業の審査や諮問、調査のための機関を「付属機関」として条例で定める必要がある。選定委は付属機関でなく、設置の根拠となる要綱も「選定に関する事項を審議する」とするだけで、権限や活動内容、構成などに触れていない。

 付属機関のあり方を巡る裁判では、2011年に横浜地裁と東京高裁が「(地方自治法では)付属機関を法律や条例によらず要綱などで設置することを禁ずる趣旨をも含む」との判断を下した。市総務課も「裁判などになれば違法とされる可能性はある」と認めながらも「付属機関か任意かという点は各自治体の判断に委ねられている」との見解を示す。

 市によると、任意機関は現在46機関。今回のように選定にかかわったのは2015、16年度で8機関で、76件について意見書の提出などを行った。過去5年間、機関の結論と異なる選定結果が出たことはないという。

 福岡大法科大学院の村上英明教授(地方自治法)は「臨機応変に対応するため市長決裁による『任意機関』を設置するケースもある」とした上で、「行政の意思決定に実質的に関与する委員会は議会の承認の下に設置されるべきで、今回の選定委については地方自治法上違法と考える。首長や執行機関の一方的な考えや方針を議会が関与することなく実現し、議会の存在を無意味にする危険性がある」としている。

 【ワードBOX】付属機関

 地方自治法第138条の4第3項に基づき、市町村長など地方自治体の執行機関の要請で設置されることが認められ、同法第202条の3で「法律もしくはこれに基づく政令、条例の定めるところにより、その担任する事項について調停、審査、審議、または調査などを行う機関」と定めている。佐世保市では、市付属機関設置条例に基づき、市総合計画審議会や市図書館協議会などが設置されている。

=2017/09/12付 西日本新聞朝刊=

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