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長崎自動車が子会社化 島鉄再建道のり険しく 設備投資、人口減 観光利用に活路 [長崎県]

島原駅で列車に乗る高校生。島原鉄道の乗客の6割は通学客だ=13日夕
島原駅で列車に乗る高校生。島原鉄道の乗客の6割は通学客だ=13日夕
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記者会見を開いた長崎自動車の嶋崎真英社長(左)と島原鉄道の本田哲士社長
記者会見を開いた長崎自動車の嶋崎真英社長(左)と島原鉄道の本田哲士社長
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 長崎バスを運行する長崎自動車(長崎市)が島原鉄道(島原市)の子会社化を発表した13日、長崎自動車の嶋崎真英社長は長崎市内で開いた記者会見で、自社ノウハウを生かした島鉄再建に強い意欲を示した。だが島原半島の人口や観光客は減少の一途。多額の設備投資も待ち受け、“新生島鉄”が軌道に乗るかは見通せない。

 「厳しいテーマだが、交通事業者として使命感を感じる」。嶋崎社長は、1世紀以上、住民の足であり続けてきた島鉄を支援する意義を重々しく語った。

 島鉄は1990年代の雲仙・普賢岳の噴火で経営が悪化、鉄道事業の赤字をフェリーやホテル事業の黒字で穴埋めしている。県や地元自治体の補助金で補えない年もあり、2017年3月期決算は総額4億6千万円の補助金があっても、純損益は赤字だった。

 再建の鍵は、鉄道やバスの観光利用の拡大だ。16年度の鉄道乗客数は約142万5千人とピークの3分の1。うち6割は通学者で、自然増は見込めない。一方、長崎自動車グループは九州・山口で貸し切りバスを運行し、旅行業やホテル業も展開する。

 嶋崎社長は「観光資源の豊かな島原半島でノウハウを生かす」として、雲仙温泉-長崎空港間や、世界文化遺産登録を目指す「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産、原城跡(南島原市)を巡るバスの運行案に言及した。

 一方で、島鉄の乗り合いバス約80台のうち、10年以内に50台ほどが耐用年数を超える。イオン島原店が入居する島鉄所有の商業ビルは老朽化のため建て替えを迫られており、近接するバスターミナルの移転も必要。巨額の設備投資が不可欠だが、「雇用の維持」を掲げる中での経費削減には限界もある。

 島鉄を含む長崎自動車グループ内での運行管理の効率化や、車両融通などのコスト圧縮も検討される見通しだが、効果は未知数だ。

 嶋崎社長は、少子高齢化で地方の公共交通事業が曲がり角を迎えていることを強調した上で「島原半島での交通事業は自治体の助成を受けない限り、収支の均衡は図りづらい」と説明。運賃値上げに関しては「これからの課題だ」と述べた。

 13日夜、島原駅で帰りの列車を待つ男性会社員(42)は「経営が安定するのは利用者としてうれしいが、親会社の意向次第で駅の廃止や値上げに踏み切る可能性もあるのではないか」と話した。

=2017/11/14付 西日本新聞朝刊=

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