伝承者派遣依頼50件 北海道からも 国の費用支援始まる 平和祈念館 [長崎県]

 被爆体験を引き継いだ伝承者を長崎市外に派遣する際、国が旅費などを助成する支援事業が今月、スタートした。国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館が3月1日に受け付けを始めたところ、今月13日までに全国から「予想以上に多い」(祈念館)という計50件の派遣依頼が届いている。被爆の実相を広く継承していくことへの共感がうかがえる。

 厚生労働省は本年度予算で、長崎市内から伝承者を派遣する事業費として1千万円を確保。派遣対象の伝承者は市が育成する「家族・交流証言者」と同祈念館の朗読ボランティア「被爆体験を語り継ぐ 永遠の会」で、各地の学校などに出向いて講話や朗読を行う。

 被爆体験の継承に関しては、被爆者の高齢化で本人が語る機会が減少している実態があり、伝承者の育成が急務となっている。一方、派遣する場合の旅費などの負担問題もあり、市が昨年度に派遣した「家族・交流証言者」の件数は19件。「永遠の会」の大塚久子代表(60)も「今までは県外にほとんど行っていなかった」と語る。

 若い伝承者の派遣費用を国が肩代わりする取り組みは、継承の機会を増やす狙いがあり、遠くは北海道からも派遣依頼があった。依頼理由は「行政主催の講演会に来てほしい」「修学旅行の事前学習を行いたい」などさまざま。ただ、対応できる伝承者や事業予算枠の関係もあり、祈念館は「今後、依頼受け付けを中止する可能性もある」としている。

=2018/04/15付 西日本新聞朝刊=

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