木造「伝馬船」を復元 五島市の菊谷造船所 「地元の海、歴史伝えたい」 [長崎県]

菊谷造船所が復元した「伝馬船」
菊谷造船所が復元した「伝馬船」
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 五島市岐宿町の菊谷造船所が、かつて同市内など各地で使われていた手こぎの木造船「伝馬(てんま)船」を復元した。創業者が残した図面を頼りに、造船所に勤める息子の菊谷岩雄さん(68)が約8カ月かけて手作業で製作。「伝馬船を通して木造和船の技術や歴史を伝えたい」と話している。

 伝馬船は木とくぎで作られ、近世以降普及したが、戦後しばらくして強度と軽さを備えた繊維強化プラスチック(FRP)を使った船が主流になり、ほとんど姿を消した。

 菊谷さんがヨット仲間から「環境に優しく、日本古来の建造技術が詰まった和船を鑑賞したり乗ったりしてみたい」と相談されたのがきっかけ。

 造船所は父の故留八さんが1946年に創業、約45年前まで伝馬船を作っていた。製作を手伝った記憶があり、大学で船舶工学を学んだこともあり「自分が作れる」と思い、留八さんが残した図面を参考に製作に取り組んだ。

 力を入れて曲げても割れない木材を見極め、伝馬船用のくぎも広島県の業者から取り寄せた。内部の仕切板の取り付けなどをこなし、今春、全長約4・5メートル、幅約1・2メートルの伝馬船を完成させた。造船所に勤める三男友彦さん(31)にも自身の経験を伝えている。

 伝馬船は10隻ほど作る考え。以前開かれていた櫓(ろ)こぎ大会の復活や、観光客や修学旅行生向けの体験乗船での活用を思い描く。造船所は遣唐使船が立ち寄ったとされる湾の近くにある。菊谷さんは「多くの人に五島の海の美しさや歴史も知ってもらいたい」と話す。

=2018/05/12付 西日本新聞朝刊=

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