構成資産の価値を再確認 長崎市で「潜伏キリシタン遺産」シンポ 「信仰が息づく観光地に」 [長崎県]

パネル討論で議論する登壇者
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シンポジウムでのパネル討論に聴き入る参加者
シンポジウムでのパネル討論に聴き入る参加者
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奈留島で発見された「絹のオラショ」について説明する柿森和年さん
奈留島で発見された「絹のオラショ」について説明する柿森和年さん
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 長崎市の長崎ブリックホールで12日開かれた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本)の世界文化遺産登録を願うシンポジウムは、一般参加者のほか、潜伏キリシタンの子孫や宗教史研究者などの関係者ら計450人が集まり、12構成資産が世界遺産になる意義や価値について改めて考える場となった。

 研究者らでつくる禁教期のキリシタン研究会(会長・高祖敏明上智大特任教授)と十八銀行が主催した。

 九州の教会建築や、かくれキリシタンの歴史に関する著書がある日本経済新聞の内田洋一編集委員は初めて黒島(佐世保市)に上陸した時に、自然に溶け込む教会堂のたたずまいに感動したエピソードなどに触れ「海に囲まれた地形と潜伏には深い関わりがあったのだろう」と指摘した。

 長崎市外海地区などに伝わる伝説の日本人伝道師バスチャンに関係する言い伝えが残る同市樫山町の「赤岳」が、キリシタンの信仰の対象になっていたことなども解説。世界遺産への登録勧告について「これまで黙殺されてきた精神世界にようやく光が当たった」と評価した。

 禁教期のキリシタン研究会の柿森和年世話人は、五島列島の奈留島にある祖先宅に受け継がれてきた「絹のオラショ」が発見され、精査した研究成果を発表。長崎、五島列島、天草地方の潜伏キリシタンが互いにつながることで、二百数十年の潜伏を乗り越えたことを示す資料だとした。

 高祖特任教授はシンポジウム終了後、潜伏キリシタン関連遺産の構成資産が人口減少に直面する離島に点在することや、観光客増加に伴う負の面に触れ、国連が示した「持続可能な開発目標」(SDGs)の趣旨に沿って「信仰が息づく観光地としてふさわしい方向に導く必要がある」と報道陣に語った。

=2018/05/13付 西日本新聞朝刊=

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