「川が枯れた」工事で地下水脈寸断? 長崎新幹線ルート建設、10トンネル周辺で減渇水 田植えに影響も [長崎県]

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井樋ノ尾川の渇水で水が引けずに田植えが見送られたままの水田=諫早市
井樋ノ尾川の渇水で水が引けずに田植えが見送られたままの水田=諫早市
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 九州新幹線西九州(長崎)ルート建設に伴う県内22カ所のトンネル工事のうち10カ所の周辺で河川の流量が減る減渇水が起きていたことが、鉄道・運輸機構への取材で分かった。掘削による地下水脈の寸断などが原因とみられ、うち諫早市-長崎市を結ぶ久山トンネル工事では両市の4水系で減渇水が起き、田植え前の水田に水が引けないなどの影響が出ている。

 同機構はいずれも「トンネル掘削と減渇水の時期が重なるため、工事の影響とみられる」と説明。久山トンネル以外も千綿トンネル(東彼杵町)、第2岩松トンネル(大村市)、新長崎トンネル(長崎市)など広範囲に及んでいるが、井戸の設置やトンネル湧水の送水管による給水、休耕に伴う補償といった対策を終えたとしている。

 久山トンネルは全長4990メートルで、2013年12月に諫早市側の東工区(約2700メートル)と長崎市側の西工区(約2300メートル)が同時に着工。東西両側から掘削を進めており、西工区は今年12月、東工区は来年3月の完成を予定している。

 西工区から半径1キロ内にある長崎市古賀地区の二双舟川など3水系では昨年12月ごろから流量が減り、一部はゼロになった。3水系とも地下水を水源にしており、地元住民によると、下流では計40戸の農家がコメを作っていたという。

 機構側は応急対策として今年2~5月に計4本の井戸を掘削して給水を試みたが流量は不足。地元自治会でつくる東長崎新幹線対策協議会は5月、施工業者に「農業用水に支障をきたしている」と補償を求める申し入れを行った。機構は新たな井戸の掘削を計画しているが、協議会の担当者は「3水系の水源が元に戻るわけではない。井戸やポンプの管理を今後どうするのか交渉が必要」と話す。

 東工区から約1・4キロ離れた諫早市多良見町井樋ノ尾(いびのお)地区でも今年2月以降、集落の井樋ノ尾川の水源や飲料水用の井戸が枯れた。農業用水を確保するため、機構は5月上旬に井戸を掘削したが地下水は出ず、地元の農業男性は「80年近くここに住んでいるが、川が枯れたのは初めて。田んぼには9月まで水が必要なのに対策が遅い」と顔をしかめた。

=2018/06/07付 西日本新聞朝刊=

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