乗客と“文通”続ける駅長 励ましに勇気、自殺を思いとどまった男性も 旅人の癒やしに [長崎県]

思い出ノートを手にする大石さん
思い出ノートを手にする大石さん
写真を見る

 「日本本土最西端の駅」で知られる松浦鉄道(MR)の「たびら平戸口」駅(平戸市田平町)。駅長の大石文子さん=松浦市志佐町=は、構内に置いた「思い出ノート」で列車の乗客と“文通”を続け、心温まる交流をしている。

 A4判のノートの表紙には「ようこそ最西端の駅へ 旅の記念に一言言いたい、聞いてほしい。(中略)あなたの足跡を残してみませんか? 人生の一ページに残る素敵(すてき)な旅でありますように」とある。

 大石さんは2009年、自宅近くの松浦駅からたびら平戸口駅に異動し、1年後、駅長に昇格。ノートは松浦駅勤務時代から始めていた。松浦では、主に地元の高校生らとの交換日記風のやりとりとなり、恋の悩みの相談相手として慕われた。学校をサボっていた子どもたちを立ち直らせたこともある。

 「たびら平戸口駅は観光地平戸の玄関口だから、今は旅行者の書き込みが多い」と話す大石さん。旅行者の自由な書き込みに対して、赤ペンで応じる。

 傷心の旅人への“返信”はおのずと激励になる。人間関係に疲れ果て、自殺の可能性もあったという関東地方の新米男性教諭は、大石さんの言葉に勇気づけられ、4年後、転職して元気な姿で同駅を再訪した。横浜市の女子大学生は大石さんが話す仕事への誇りに感銘を受け、鉄道関連の会社に就職した。

 「私のささいなアドバイスが人の役に立っているならうれしい。根っから人間が好きなんだと思う。一人っ子で寂しがり屋だからかな」

 ノートは今、3冊目の中ほどだ。

=2018/06/12付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]