2度の解体危機乗り越え…国文化財の公会堂が復活 1937年に完成「アール・デコ」調の建築様式 波佐見町 [長崎県]

長く町民に親しまれてきた旧波佐見町立中央小学校講堂兼公会堂
長く町民に親しまれてきた旧波佐見町立中央小学校講堂兼公会堂
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工事中の室内=読者提供
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1941年撮影。町の公会堂としても親しまれ66年には「NHKのど自慢」も開かれた=読者提供
1941年撮影。町の公会堂としても親しまれ66年には「NHKのど自慢」も開かれた=読者提供
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 波佐見町の町民に親しまれ、国登録有形文化財にも指定されている同町井石郷の「旧波佐見町立中央小学校講堂兼公会堂」の3年に及ぶ改修工事が5月に完了した。過去には2回解体の話が持ち上がったが、町民の反対の声を受け今日まで残った。町は公会堂を観光施設などに活用しようと、当時の木造建築の形を残したまま耐震を強化。再び町の文化のシンボルとして生まれ変わろうとしている。

 公会堂は1937年に完成した木造2階建ての洋館。当時流行した美術様式「アール・デコ」調の建築様式を取り入れ、九州最大規模の公共木造施設と言われている。隣接する中央小学校の体育館として使われ、町の公会堂としてもコンサートなどを開いてきた。95年に同小が移転してからは、公会堂としての役割が続いていた。町は97年と2001年に解体計画を策定したが、住民の反対を受けて07年に保存方針に転換。その2年後、優れた建築技術や音響が評価され文化財登録が決まった。

 同町折敷瀬郷の建築士、田崎武詞さん(55)はここで小学校の卒業式を上げた一人。田崎さんの祖父は左官として公会堂の建設に携わったという。「小学校のときは普通の体育館だったが、大人になって県外から帰ると魅力的な建物にみえた。前の世代から引き継いだ波佐見の宝を磨き、次世代につなげたい」と話す。

 町内でジャズ喫茶も営むNPO法人「波佐見講堂ファンクラブ」代表の立石聡さん(71)は、音の良さを指摘し、「コンサートを企画してプロの音楽家がここで演奏する度に音の響きにびっくりする。講堂はみんなが笑顔になる場所です」。

 町企画財政課によると、改修工事は16~18年度、総事業費約1億9600万円で実施。当時の材木をはがし、その中に耐震材を入れて補強した。一瀬政太町長は「講堂は町のランドマーク的存在。今後は観光資源や多目的ホールとして活用する」と話している。

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 改修記念コンサート実施 波佐見講堂ファンクラブは24日、改修記念コンサートを同公会堂で開く。午後0時半開場、同1時開演。九州大学男声合唱団コールアカデミーや波佐見児童合唱団などが歌を披露する。入場無料。

=2018/06/15付 西日本新聞朝刊=

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