長崎港-軍艦島-野母半島を周遊化 恐竜博物館と自然を生かせ 新観光ルート検討、長崎市 [長崎県]

恐竜が生息した8100万年前の長崎のイメージ図(長崎市教育委員会提供)
恐竜が生息した8100万年前の長崎のイメージ図(長崎市教育委員会提供)
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軍艦島を望むプール。恐竜博物館が建設される予定
軍艦島を望むプール。恐竜博物館が建設される予定
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 長崎市が世界文化遺産の端島(軍艦島)と、野母半島をつなぐ新たな観光周遊ルートの形成に乗り出す。軍艦島は市内屈指の観光スポットだが、市中心部の長崎港から船で往復するコースが主流で波及効果に欠ける。そこで、軍艦島に近い恐竜の化石発見の地で、自然豊かな野母半島に着目。島経由で半島に向かうルートをつくり、長崎観光の魅力アップを図る。

 軍艦島には年間二十数万人が訪れる。同市全体の観光客も2017年(1~12月)に過去最高の708万人を記録。一方、市内に宿泊するのは約36%の255万人にとどまり、いかに長時間滞在してもらうかが課題になっている。

 野母半島では10年、白亜紀後期(約8300万年前~約6600万年前)の地層から草食恐竜「ハドロサウルス」の左大腿骨(だいたいこつ)間接部、15年には国内で初めて肉食恐竜「ティラノサウルス」の大型種の歯の化石をそれぞれ発見。県内最南端で五島灘に突き出す半島は海水浴場や新鮮な魚介類にも恵まれる。

 市はこれらを観光に生かすため、半島突端部の野母崎総合運動公園水泳プールを今夏シーズン終了後に閉鎖、跡地に恐竜博物館を建設する計画。建設予定地に近い県管理の野母漁港に軍艦島クルーズ船を寄港させ、乗客はバスで半島を巡り、市街地に戻るコースを構想する。

 こうした動きに地元の若者も呼応し、5月に地元青年団や漁協青年部がまちづくり団体「野母崎 陽(ひ)の岬」を結成した。夕日が美しいドライブコースやサイクリングコースを会員制交流サイト(SNS)などで発信する計画だ。

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■化石発掘は炭鉱にルーツ 博物館テーマ「はるかな過去」

 長崎での恐竜化石の発掘は、地域にかつて繁栄をもたらした炭鉱にルーツがある。1962年、高島炭坑(86年閉山)の立て坑で「日本初の恐竜化石を発見」と話題になり、同じ年には軍艦島(74年閉山)の坑道を掘削中にも恐竜時代の貝の化石が見つかった。

 高島の化石は94年に「哺乳類のもの」と修正されたが、それまでの研究の蓄積から、地理的に近い野母半島に恐竜時代の地層があることが判明。2012年にスタートした長崎市と福井県立恐竜博物館との合同調査で、ハドロサウルスやティラノサウルスの化石が相次ぎ発見された。

 野母半島のプール跡地に建設する恐竜博物館では「はるかな過去の長崎」をテーマに、恐竜に加えて炭鉱の歴史や島での暮らしも紹介する。

 本年度中に基本計画を策定、来年度着工、21年10月のオープンを予定。総事業費は17億4千万円。

=2018/07/06付 西日本新聞朝刊=

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