収容長期化、数年間も 大村入国管理センター 強制退去処分の外国人 法と人権、問われるバランス [長崎県]

畳敷きの部屋が並ぶ居住区。この区画には現在、収容者はいない。(写真はいずれも大村入国管理センターの許可を得て撮影)
畳敷きの部屋が並ぶ居住区。この区画には現在、収容者はいない。(写真はいずれも大村入国管理センターの許可を得て撮影)
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センター内の屋外運動場。収容者は平日に1日2時間半まで運動が認められている
センター内の屋外運動場。収容者は平日に1日2時間半まで運動が認められている
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居住区などを区切る扉の監視窓。ここから内部を確認した上で解錠する
居住区などを区切る扉の監視窓。ここから内部を確認した上で解錠する
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収容者に提供される弁当。信仰やアレルギーなどに配慮し30種前後を用意するという
収容者に提供される弁当。信仰やアレルギーなどに配慮し30種前後を用意するという
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 入管難民法や刑法に違反して国内から強制退去処分となった外国人を送還まで収容する西日本唯一の施設「大村入国管理センター」(大村市)。収容期間は長期化する傾向にあり、同センターの収容者の大半が「長期」に当たる6カ月以上で、数年に及ぶケースも少なくない。外国人労働者など国籍が異なる隣人が身近になる中、収容の長期化は法の秩序と人権のバランスのあり方を問いかける。

 12畳半の畳敷きの部屋が廊下に面して5つ並ぶ。各部屋にはテレビと個室トイレ、炊事場が備えられ、窓や廊下は鉄格子と透明のアクリル板で仕切られている。夜間、ドアは外から施錠される。

 大村入国管理センター内の居住区。5部屋を1区画とし、計16区画。各部屋の定員は10人で、日中は部屋を出て、シャワーや公衆電話がある廊下で過ごすこともできるが、原則、行動は区画内に制限される。食事は弁当。パソコンや携帯電話の持ち込みは禁止されている。

 入管施設には刑務所のように強制される作業はなく「保安に支障がない範囲で自由に過ごせるようにしている」(総務課)。ただ、刑期と異なり収容期間に制限はない。

 8月1日現在の収容者はイラン、フィリピン、ブラジルなど23カ国の101人。いずれも20~60代男性で、うち6割は実習生などの資格で来日、許可された在留期間を超えたため強制退去処分を受けた。長期収容率は85・1%。昨年4月の38・7%、一昨年4月の20・8%を大きく上回る。最長は5年11カ月だ。

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 収容長期化の要因の一つとみられるのが、人道的な観点から一時的に釈放を認める「仮放免」制度の厳格化だ。仮放免の適用はセンター長が判断するが、法務省は2016年9月に「適切」な運用を図るよう通達。大村入国管理センターにおける17年の申請件数は前年比2割増の199件。許可件数は29件少ない19件にとどまった。

 同省は「退去処分に速やかに応じてほしい」との立場だが、収容者の多くは国内への残留を求めて仮放免を申請する。申請中は処分の執行が見送られるため、収容期間が長期化する側面もある。センターで13年間、収容者の支援活動を続ける牧師の柚之原寛史さん(50)=大村市=によると、彼らがそうまでして残留を希望する理由は切実だ。「日本に残る家族と会えなくなる」「未払い賃金を受け取っておらず、帰国すると借金を返せない」「母国では宗教的な理由で迫害を受ける」「難民として出国したので戻れない」-。

 九州弁護士会連合会は6月、長期収容は「国際的な批判がある」として、センターに仮放免運用の見直しを求める声明を発表した。

   ◆    ◆

 7月25日、長崎地裁大村支部で公務執行妨害罪などに問われたナイジェリア人男性(31)に懲役10カ月の実刑判決が言い渡された。

 判決によると、男性が収容されていたセンター内で電気ポットを壊し、職員に頭突きをしたのは16年4月16日の未明。熊本地震の発生に九州に住む日本人の妻と子の安否が心配になり、興奮状態になったのがきっかけだった。事件前、仮放免を何度か申請していたが認められなかったという。

 言葉が十分に通じず、習慣が異なる多国籍の共同生活にストレスを抱え、睡眠剤や精神安定剤を服用する収容者も少なくない。今年4月には東日本入国管理センター(茨城県)で申請を却下されたインド人男性が自殺した。柚之原さんは言う。「確かに日本の法律に違反したかもしれないが、それぞれの事情を考慮せず、即退去、という考えには違和感がある。人権に国境はないのだから」

=2018/09/09付 西日本新聞朝刊=

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