肥前磁、タンザニアに痕跡 長崎大・野上教授が調査 17世紀後半の墓で発見例 [長崎県]

タンザニアのキルワ・キシワニ遺跡にあるスルタンの墓。丸い部分のいずれかに肥前磁器の皿をはめ込んでいたという=野上教授提供
タンザニアのキルワ・キシワニ遺跡にあるスルタンの墓。丸い部分のいずれかに肥前磁器の皿をはめ込んでいたという=野上教授提供
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野上建紀教授
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 17~18世紀における肥前磁器の国際流通を研究する長崎大の野上建紀教授(考古学)が、アフリカのタンザニアで分布調査をしている。有田焼などの肥前磁器は鎖国期に長崎・出島から世界へ輸出された。野上教授は研究事例が少ない東アフリカに調査範囲を広げることで、長崎に出入りできなかった国々の船が輸出にどう介在し、どこへ運んだかを解明する。

 肥前磁器は長崎で交易を許された中国船により、台湾経由でフィリピン・マニラへ運ばれ、スペイン船で太平洋を横断した。野上教授は佐賀県の有田町歴史民俗資料館に勤めていた14年前から、この東回りルートの国々を訪れ、南米コロンビアの古い教会の装飾などに残る肥前磁器を見つけてきた。昨年、最も遠いアルゼンチンの調査を終えた。

 アフリカでは、長崎で交易したオランダの拠点だった南アフリカ・ケープタウンで肥前磁器が数多く出土している。東アフリカは、タンザニアとケニアで各1点の発見例しかない。

 野上教授はタンザニアに注目し、今年5~6月に首都近郊、8月に南部にある世界遺産キルワ・キシワニ遺跡で調査した。同遺跡はかつての交易都市。過去にスルタン(イスラムの有力者)の墓で17世紀後半の肥前磁器が見つかったが、今回の調査で新たな発見はなかった。

 野上教授は、中国船が東南アジアやマカオに運んだ肥前磁器を、ポルトガルかイスラム商人の船が東アフリカに持ち込んだと推測。モスクや墓の装飾に中国磁器が使われる事例があり、それに代わる肥前磁器が見つかる可能性は高いとみて調査を続ける。

 野上教授は「(欧州に輸出した)オランダとの交易が注目されがちだが、中国船の役割も大きく、その先を調べることで肥前磁器の世界的な流通の実態が見えてくる」と話す。

=2018/10/13付 西日本新聞朝刊=

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