交通安全を地蔵に祈る 江迎署前、呉服店の中村さん 前掛け取り換え20年 [長崎県]

新しい赤い前掛けを地蔵にかける中村君枝さん
新しい赤い前掛けを地蔵にかける中村君枝さん
写真を見る

 佐世保市江迎町の江迎署の玄関脇に、高さ64センチの交通安全祈願の地蔵が立つ。12日に始まった年末の交通安全県民運動に合わせて、赤い前掛けが新調された。近くに住む中村君枝さん(69)が家族や地域の安全を願い、20年ほど前から定期的に取り換えている。

 前掛けは中村さんが夫婦で経営する呉服店の反物でこしらえる。今回は信号機と同じ青、黄、赤の3色のまゆ玉が付いた約30センチ四方の木綿生地。慣れた手つきで地蔵にかけると、中村さんは両手を小さく合わせ、控えめにお辞儀した。

 春夏秋冬の交通安全運動のたびに作るので、これまでに取り換えた回数は80回以上。「家が近くて、布地も身近にあったので簡単にできたこと」と中村さんは謙遜する。

 きっかけは長男の慎さん(44)が社会人になるとき。車を運転する機会が増えるので、事故に遭わないようにと願う親心からだった。地蔵は江迎署が新築された1991年に地域の人たちが設置したとみられ、以前は前掛けがなく裸の状態だったという。

 願いが届いたのか、中村さんの家族で大きな事故に遭った人はいない。今も変わらず「事故に遭わない、遭わせない」と祈り続ける。

 平井隆史署長は9日、中村さんに感謝状を贈った。「中村さんの活動をより多くの人に知ってもらい、住民一人一人が交通安全の意識を高めてもらえれば」と話す。

 今年夏から地蔵の頭にはかさがのっている。道園治久副署長が、雨にぬれても傷まないようにラミネート加工した厚紙で作った。地蔵の手前にある水琴窟からは、琴のような音色が聞こえる。周りの植栽は署員の手で掃除され、さい銭を置く住民もいる。

 年末の交通安全県民運動は21日まで。県警は「一杯で 消える未来と 消せぬ罪」をスローガンに、飲酒運転の根絶、高齢者と子どもの事故防止にさまざまな団体と協力して重点的に取り組む。

=2018/12/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]