長崎の伊勢信仰研究集大成 富松神社の久田松宮司が新著 大村市 [長崎県]

伊勢神宮社殿を造り替える「式年遷宮」が行われた2013年に出版予定だったといい、「ようやく集大成の著書を出せた」と語る久田松和則さん
伊勢神宮社殿を造り替える「式年遷宮」が行われた2013年に出版予定だったといい、「ようやく集大成の著書を出せた」と語る久田松和則さん
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 大村市の富松神社の久田松(くだまつ)和則宮司(69)が、伊勢神宮(三重県伊勢市)への信仰が長崎へ伝わった歴史をまとめた新著「長崎の伊勢信仰-御師(おし)をめぐる伊勢と西肥前とのネットワーク」(長崎文献社)を出版した。神宮などに伝わる古文書を丹念に読み、地元の大村から離島まで県内各地の状況を論考している。

 久田松さんは宮司を務めながら、中世の宗教史を研究している。着目したのが、伝道師の役割を果たした伊勢神宮の神主集団「御師」。関東では1181年に活動した記録があるが、九州での初見は1532年と遅い。九州に伊勢神宮領がなく、全国の八幡宮の総本宮である宇佐神宮(大分県宇佐市)の存在も大きかったことが理由という。

 古文書には、伊勢神宮を参詣した地域や時期、人数、初穂料などの情報が詰まっている。そこから、米作りが始まる前の2~5月に参拝する傾向や、大金を持ち歩かないために為替制度が整備されたことなどが分かった。「封建社会で農民は虐げられたと思われがちだが、実は生き生きとしていて、豊かな者もいた」と久田松さん。宗教史料から庶民の歴史を浮かび上がらせた労作だ。4104円。

=2018/12/29付 西日本新聞朝刊=

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